2024年03月04日後片付けをして湯浴みもさせてもらい自
後片付けをして湯浴みもさせてもらい自室で布団を延べている三津の元に入江がやって来た。
「ホンマに夜通し話聞こうとしてます?」
「まさか!でも夫婦ごっこって何してたかは聞きたいですね。」 https://ypxo2dzizobm.blog.fc2.com/blog-entry-83.html https://william-l.cocolog-nifty.com/blog/2024/03/post-546c97.html https://besidethepoint.mystrikingly.com/blog/35163d5dcd3
部屋の隅に座り子供のような笑顔を向けた。
「あれは……斎藤さんの用事に付き合うのに奥さんのふりして欲しいって話で斎藤さんの散歩に付き合って旦那様って呼んでるだけでしたね。」
「何だつまんない。もっと深い事してるかと思った。」
「深い事って何ですか。」
敷き終えた布団の上に正座して入江と向かい合った。
「え?夫婦になったら子づく……。」
「あー!!」
三津は顔を赤く染め両耳を塞いで絶叫し,入江の言葉を遮った。
「無いですよ!ごっこって言ったやないですか!
男の人は頭の中そればっかりですか。」
「の……男も居るでしょうねぇ。島原で遊んでばっかの。」
そう言えば居たなと三津は原田や永倉を思い出して笑った。
「昨日の座敷で幾松さんに何か言われたりしたんですか?嫌な事。」
「いいえ?幾松さんはお仕事されてただけですよ。
ただ居心地の悪い空間やったんです。
こんな風にお酌してもらって白粉や紅つけて帰って来るんやなって目の当たりにして。
見たくなかったし居たくもなくて。」
寂しかった気持ちが這い上がってきた。胸が痛い。
「でも仕事の内やし男の人はそんなもんですよね。だから帰って来てくれるだけで喜ばな駄目ですよね。」
ははって乾いた笑いを漏らしたら,体が大きく前に引かれた。ビックリして見開いた目には入江の着物の色だけが認識できた。
「入江さん?」
「桂さんが羨ましいですよ。こんなに健気に想われて。
ちょっと妬きます。」
「あの?」
急にどうしたと問いかけてもただ無言でしばらく抱きすくめられた。
それから少ししてまた言葉が降ってきた。
「斎藤一に甘えたみたいに,縋ってもいいんですよ。貴女には稔麿も私も玄瑞も居ますからね。」
そして身を剥がすと三津のおでこに口付けた。
「悪い夢見ませんように。」
そう言って悪戯っぽく笑っておやすみなさいと部屋を出た。
「……甘える所は沢山あるんで油断しちゃ駄目ですよ?桂さん。」
部屋の外で立ち尽くす桂にも笑みを向けて入江は自室へ引き上げた。
「参ったね……。」
周りは敵だらけかと笑うしか無かった。「そろそろ家に帰ろうか。」
藩邸で過ごすようになって数日経ったある日,桂は三津に切り出した。
「最近は壬生狼の動きも落ち着いてる。一旦家に戻ろうか。」
「そうですね,私も家の様子が気になってたんで!」
ついでに昼も二人で食べようと昼前に藩邸を出る事にした。
「三津さん外に連れ出すの?」
「帰るんだってさ。まだ早過ぎると思うけど。」
門を出る二人の背中を遠巻きに見つめる入江と吉田。
「桂さんがもう限界なんだろ。大目に見てやれよ。
あの件以来三津さんに触るのも我慢してるのに花街にも行かないでずっと傍に居たんだ。
そろそろ二人になりたいだろうよ。」
男ならその辛さ分かるだろと久坂に宥められる。
「あの女好きの桂さんはどこに行っちゃったんだろね。」
吉田はふっと笑みを溢してどう邪魔をしてやろうかと画策した。
久しぶりに道というものを歩く。
嬉しさも一入だが誰かが後ろから自分達を抜き去る度に三津の肩が跳ねる。
桂は少し後ろを歩いてる三津にちらりと目をやり,それから小さな手を握った。
無言で握られたその手を三津は強く握り返して喜びを表した。
久しぶりの家に着いて三津がまず気になったのは,
「あーやっぱり埃。ちょっと空けてただけやと思ってましたけど今日はお掃除ですね。」
家の汚れと篭った空気。戸を開け放って換気をした。
「家でも女中みたいな事を。」
「家の事は女の仕事ですよ。少し片付けてご飯作りますね。」
前掛けをつけて手際よく襷掛けをしようとした所を後ろから抱きしめられて阻まれた。
やはり体は少し震える。
「怖い?」
「いえ……久しぶり過ぎて緊張します……。」
「ホンマに夜通し話聞こうとしてます?」
「まさか!でも夫婦ごっこって何してたかは聞きたいですね。」 https://ypxo2dzizobm.blog.fc2.com/blog-entry-83.html https://william-l.cocolog-nifty.com/blog/2024/03/post-546c97.html https://besidethepoint.mystrikingly.com/blog/35163d5dcd3
部屋の隅に座り子供のような笑顔を向けた。
「あれは……斎藤さんの用事に付き合うのに奥さんのふりして欲しいって話で斎藤さんの散歩に付き合って旦那様って呼んでるだけでしたね。」
「何だつまんない。もっと深い事してるかと思った。」
「深い事って何ですか。」
敷き終えた布団の上に正座して入江と向かい合った。
「え?夫婦になったら子づく……。」
「あー!!」
三津は顔を赤く染め両耳を塞いで絶叫し,入江の言葉を遮った。
「無いですよ!ごっこって言ったやないですか!
男の人は頭の中そればっかりですか。」
「の……男も居るでしょうねぇ。島原で遊んでばっかの。」
そう言えば居たなと三津は原田や永倉を思い出して笑った。
「昨日の座敷で幾松さんに何か言われたりしたんですか?嫌な事。」
「いいえ?幾松さんはお仕事されてただけですよ。
ただ居心地の悪い空間やったんです。
こんな風にお酌してもらって白粉や紅つけて帰って来るんやなって目の当たりにして。
見たくなかったし居たくもなくて。」
寂しかった気持ちが這い上がってきた。胸が痛い。
「でも仕事の内やし男の人はそんなもんですよね。だから帰って来てくれるだけで喜ばな駄目ですよね。」
ははって乾いた笑いを漏らしたら,体が大きく前に引かれた。ビックリして見開いた目には入江の着物の色だけが認識できた。
「入江さん?」
「桂さんが羨ましいですよ。こんなに健気に想われて。
ちょっと妬きます。」
「あの?」
急にどうしたと問いかけてもただ無言でしばらく抱きすくめられた。
それから少ししてまた言葉が降ってきた。
「斎藤一に甘えたみたいに,縋ってもいいんですよ。貴女には稔麿も私も玄瑞も居ますからね。」
そして身を剥がすと三津のおでこに口付けた。
「悪い夢見ませんように。」
そう言って悪戯っぽく笑っておやすみなさいと部屋を出た。
「……甘える所は沢山あるんで油断しちゃ駄目ですよ?桂さん。」
部屋の外で立ち尽くす桂にも笑みを向けて入江は自室へ引き上げた。
「参ったね……。」
周りは敵だらけかと笑うしか無かった。「そろそろ家に帰ろうか。」
藩邸で過ごすようになって数日経ったある日,桂は三津に切り出した。
「最近は壬生狼の動きも落ち着いてる。一旦家に戻ろうか。」
「そうですね,私も家の様子が気になってたんで!」
ついでに昼も二人で食べようと昼前に藩邸を出る事にした。
「三津さん外に連れ出すの?」
「帰るんだってさ。まだ早過ぎると思うけど。」
門を出る二人の背中を遠巻きに見つめる入江と吉田。
「桂さんがもう限界なんだろ。大目に見てやれよ。
あの件以来三津さんに触るのも我慢してるのに花街にも行かないでずっと傍に居たんだ。
そろそろ二人になりたいだろうよ。」
男ならその辛さ分かるだろと久坂に宥められる。
「あの女好きの桂さんはどこに行っちゃったんだろね。」
吉田はふっと笑みを溢してどう邪魔をしてやろうかと画策した。
久しぶりに道というものを歩く。
嬉しさも一入だが誰かが後ろから自分達を抜き去る度に三津の肩が跳ねる。
桂は少し後ろを歩いてる三津にちらりと目をやり,それから小さな手を握った。
無言で握られたその手を三津は強く握り返して喜びを表した。
久しぶりの家に着いて三津がまず気になったのは,
「あーやっぱり埃。ちょっと空けてただけやと思ってましたけど今日はお掃除ですね。」
家の汚れと篭った空気。戸を開け放って換気をした。
「家でも女中みたいな事を。」
「家の事は女の仕事ですよ。少し片付けてご飯作りますね。」
前掛けをつけて手際よく襷掛けをしようとした所を後ろから抱きしめられて阻まれた。
やはり体は少し震える。
「怖い?」
「いえ……久しぶり過ぎて緊張します……。」
Posted by Curryson
at 19:25
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