2023年07月27日が懐かしい。
が懐かしい。みなが食客としてきてくれたからこそ、貧乏でも励みになった。毎日が充実し、あかるかった」
局長が、ぽつりぽつりと語る。その声もまた、涙声である。
「が、世の流れに取り残されているのではないか。なすべきことをなさず、片田舎のしがない道場主としておわってしまうのではないか。つねに、焦燥と無力感に苛まれていたこともたしか。あのとき、京に上らねば、あのまま無為ではあるが生きてはおれたのであろう」
その最後の言葉に、やはりという諦念に苛まれる。
「いや、やはりわたしは、これまであゆんできたことに後悔はない。歳や山南君、源さんや新八や左之、斎藤君に総司に平助がつくってくれた道をあゆめたことが、わたしにとってなによりのこと。わたしには、それ以外考えられぬ。たとえ、その道がゆきどまりであろうと、わたしはこのままあゆむつもりだ」
だれもがうなだれ、その話をきいている。をあげることができない。
をあげ、現実を目の当たりにするのが怖いのだ。「新八、左之。これまでのこと、礼を申す。いますぐ、でていってほしい。否。ここから、でてゆけ」
「なっ、近藤さん、なんでそうなる?」
「そうだぞ、近藤さん。なにゆえ、でてゆかねば・・・」
永倉につづき、原田がいいかける。http://kiya.blog.jp/archives/21249121.html
https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/07/12/051235 http://ruth74.zohosites.com/ 局長は、それをでかくて分厚い掌を上げて制する。
「おまえたちが戻ってくるまでに、宇八郎君がやってきた。なんでも、おまえたちが隊を結成するとかで、誘われたと。「近藤さん、あんたも隊士として誘おうかと思っている。幹部二人が反旗を翻すようなものだ。新撰組はどうなるのかね」と笑っていたよ。おまえたちの真意は、わかっている。わたしは、おまえたちにつかわれるつもりはない。それに、にいるつもりもないのにとどめるつもりもない」
「はぁ?あの野郎・・・。近藤さん。あんた、かような与太話・・・」
永倉の唖然としたと言葉。それもまた、さきほどとおなじ掌がさえぎる。
の話を、すぐに鵜呑みにしてしまう」
局長は、言葉をとめる。
この想定外の展開に、だれもがついてゆけない。
「宇八郎君は、隊士たちにも声をかけていた。新八、左之。おまえたちについてゆきたい者もいるであろう。その連中も同様に、放逐する。もう、もみたくない。斎藤君、俊冬、俊春、主計。新八と左之を、ここから放りだせ」
「そ、そんな・・・。副長、いいのですか?」
斎藤の狼狽っぷりは半端ない。ってか、おれなど、動揺しまくり声もでない。
もみたくない。斎藤君、俊冬、俊春、主計。新八と左之を、ここから放りだせ」
「そ、そんな・・・。副長、いいのですか?」
斎藤の狼狽っぷりは半端ない。ってか、おれなど、動揺しまくり声もでない。のごとき活躍を、心より祈っている」
永倉と原田はささやいてから、勢いよく立ち上がる。
「ああ、ああ、わかったよ。畜生っ!手切れだ手切れっ!こんなとこ、こっちからでていってやるよ」
「近藤さん、みそこなったぜ。いこうぜ、新八っ」
叫ぶなり、脚音高くでていってしまう。
副長のアイコンタクト。追って、最後の別れをしてこいと・・・。
おれたちも、あわてて二人を追う。
「組長、永倉先生」
途中、数名の隊士たちが廊下に立っているのにでくわした。藤堂の組の伍長を務めたことがあり、最終的には原田の直下で隊士たちをまとめているはアラフォーと聞いているが、ずいぶんと若くみえる。武蔵国の出身で、新撰組がまだ壬生浪士組とよばれていたに入隊した、古参の一人である。
藤堂とずいぶん仲がよかったらしい。
細身で背がひくい。男前というわけではないが、はこぶりで精悍な面構えといった感じである。
かれは、御陵衛士たちを粛正する「油小路事件」には出動しなかった。
伍長として、手動命令がでていたにもかかわらず、直前に「腹が痛い」といってブッチしたのである。それが仮病だということは、だれもがわかっていたが。
かれは、藤堂への想いを選んだのである。
念のためであるが、その想いというのはBL系ではないと思う。たぶん、だけど。
結果、かれは事件後にみずから伍長をおり、井上の組へ移った。それから、原田の直下になったのである。
局長が、ぽつりぽつりと語る。その声もまた、涙声である。
「が、世の流れに取り残されているのではないか。なすべきことをなさず、片田舎のしがない道場主としておわってしまうのではないか。つねに、焦燥と無力感に苛まれていたこともたしか。あのとき、京に上らねば、あのまま無為ではあるが生きてはおれたのであろう」
その最後の言葉に、やはりという諦念に苛まれる。
「いや、やはりわたしは、これまであゆんできたことに後悔はない。歳や山南君、源さんや新八や左之、斎藤君に総司に平助がつくってくれた道をあゆめたことが、わたしにとってなによりのこと。わたしには、それ以外考えられぬ。たとえ、その道がゆきどまりであろうと、わたしはこのままあゆむつもりだ」
だれもがうなだれ、その話をきいている。をあげることができない。
をあげ、現実を目の当たりにするのが怖いのだ。「新八、左之。これまでのこと、礼を申す。いますぐ、でていってほしい。否。ここから、でてゆけ」
「なっ、近藤さん、なんでそうなる?」
「そうだぞ、近藤さん。なにゆえ、でてゆかねば・・・」
永倉につづき、原田がいいかける。http://kiya.blog.jp/archives/21249121.html
https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/07/12/051235 http://ruth74.zohosites.com/ 局長は、それをでかくて分厚い掌を上げて制する。
「おまえたちが戻ってくるまでに、宇八郎君がやってきた。なんでも、おまえたちが隊を結成するとかで、誘われたと。「近藤さん、あんたも隊士として誘おうかと思っている。幹部二人が反旗を翻すようなものだ。新撰組はどうなるのかね」と笑っていたよ。おまえたちの真意は、わかっている。わたしは、おまえたちにつかわれるつもりはない。それに、にいるつもりもないのにとどめるつもりもない」
「はぁ?あの野郎・・・。近藤さん。あんた、かような与太話・・・」
永倉の唖然としたと言葉。それもまた、さきほどとおなじ掌がさえぎる。
の話を、すぐに鵜呑みにしてしまう」
局長は、言葉をとめる。
この想定外の展開に、だれもがついてゆけない。
「宇八郎君は、隊士たちにも声をかけていた。新八、左之。おまえたちについてゆきたい者もいるであろう。その連中も同様に、放逐する。もう、もみたくない。斎藤君、俊冬、俊春、主計。新八と左之を、ここから放りだせ」
「そ、そんな・・・。副長、いいのですか?」
斎藤の狼狽っぷりは半端ない。ってか、おれなど、動揺しまくり声もでない。
もみたくない。斎藤君、俊冬、俊春、主計。新八と左之を、ここから放りだせ」
「そ、そんな・・・。副長、いいのですか?」
斎藤の狼狽っぷりは半端ない。ってか、おれなど、動揺しまくり声もでない。のごとき活躍を、心より祈っている」
永倉と原田はささやいてから、勢いよく立ち上がる。
「ああ、ああ、わかったよ。畜生っ!手切れだ手切れっ!こんなとこ、こっちからでていってやるよ」
「近藤さん、みそこなったぜ。いこうぜ、新八っ」
叫ぶなり、脚音高くでていってしまう。
副長のアイコンタクト。追って、最後の別れをしてこいと・・・。
おれたちも、あわてて二人を追う。
「組長、永倉先生」
途中、数名の隊士たちが廊下に立っているのにでくわした。藤堂の組の伍長を務めたことがあり、最終的には原田の直下で隊士たちをまとめているはアラフォーと聞いているが、ずいぶんと若くみえる。武蔵国の出身で、新撰組がまだ壬生浪士組とよばれていたに入隊した、古参の一人である。
藤堂とずいぶん仲がよかったらしい。
細身で背がひくい。男前というわけではないが、はこぶりで精悍な面構えといった感じである。
かれは、御陵衛士たちを粛正する「油小路事件」には出動しなかった。
伍長として、手動命令がでていたにもかかわらず、直前に「腹が痛い」といってブッチしたのである。それが仮病だということは、だれもがわかっていたが。
かれは、藤堂への想いを選んだのである。
念のためであるが、その想いというのはBL系ではないと思う。たぶん、だけど。
結果、かれは事件後にみずから伍長をおり、井上の組へ移った。それから、原田の直下になったのである。
2023年07月08日「あー、副長・・・」
「あー、副長・・・」
「わかってる。なにもいうな、斎藤。くそっ!せっかく避けてたってのに・・・。兼定、吠えろ。吠えまくれ。否、兼定の散歩係の主計、身をていしておれを護れ」
「え?ええ?どういう意味・・・?それに、散歩係って・・・」
副長の謎指令もだが、その勢いに困惑してしまう。
「歳っ!何様のつもりなの?ろくに挨拶もせず。そんな無礼な子に育てた覚えはありませぬ」
厨の入り口にあらわれたのは、副長の実のお姉さんののぶさんである。
前回のお芳さんのパワーが、トラウマになっているのであろう。https://hk2019work.bcz.com/2023/04/03/%e3%81%9d%e3%81%86%e8%a8%80%e3%81%86%e3%81%a8%e4%b8%80%e7%a4%bc%e3%81%99%e3%82%8b/ http://jeffrey.revolublog.com/-a213990869 http://tblo.tennis365.net/laurie/2023/04/04/%e3%81%a8%e5%b1%b1%e5%8d%97%e3%81%ae%e7%ab%8b%e5%a0%b4%e3%82%92%e6%82%aa/ 厨のすぐまえでお座りしている相棒が、尻尾を巻いてすごすごと場所をあけるではないか。これは、あの熊本のゆるキャラ、「くOモン」以来のびびりかたである。
厨内にいる全員がそれぞれの作業の掌をとめ、入り口に注目する。
「あ、い、いや、かようなつもりでは・・・。ほら、彦五郎に挨拶したりとか、忙しいからよ」
すごい。あの「鬼の副長」が、しどろもどろになっている。
「問答無用です」
腰に掌をあて仁王立ちで弟を叱るその姿は、まさしく「鬼の副長」の「鬼の姉」っぽい。
大人も子どもも、にやにや笑いながら副長をガン見している。
「新八さん、左之さん、一さん。あななたち、ちゃんと見張っていてくれたのでしょうね?」
矛先が自分たちへ向けられた瞬間、組長たちは最敬礼の姿勢をとる。
「無論です。ですが、おれたちの諫言をきいちゃくれません。昔のまんまです」
「新八っ!」
突如、裏切る永倉。
「ああ、ちっともかわっちゃいないですよ」
さらに、原田まで。
「さようです。副長は昔のまま、なにもかわっていません」
さらに、斎藤まで。「そうですか・・・。それをきいて安心いたしました」
のぶさんの声が、急にやさしくなる。
「三人とも、ありがとう。それと、おかえりなさい。歳、あなたもおかえりなさい。お疲れ様でした」
その涙声でのいたわりの言葉に、思わずぐっときてしまう。
組長たちは、照れ笑いを浮かべている。
「よっしゃ!しばらくはいけるほど、薪割りをやりますよ」
「われこそはってやつは、ついてこい」
「薪割りならば、わたしは負けやしない」
「はあ?なにいってやがる、斎藤。おまえ、昔はへっぴり腰でちゃんと割れなかったであろうが」
「それは平助です、新八さん」
わいわいと騒ぎつつ、組長たちと隊士数名がでていってしまう。
「副長、ゆっくり話をされたらいかがですか?」
「あ、ああ。そうだな」
島田のすすめもあり、副長はのぶさんとでていってしまった。
そしておれたちは、また作業に戻る。
山鳥は、焼き鳥と炊き込みご飯に。ささがきごぼうと細かく刻んだ里芋を入れ、味付けは濃いめ。白米にもち米をまぜ、竈で炊き込む。
熊は、しっかりあくをとった昆布だしをベースに味噌、醤油、少量の砂糖で熊の肉と内臓を煮込み、そこにささがきごぼう、豆腐、ねぎ、きのこをくわえる。
残念ながら、熊の掌は下処理だけで一週間はかかるとのことで、俊冬が佐藤家の料理人に伝えることになった。
中国では、「周の八珍」の一つとして珍重されている熊の掌。かなり高価な食材である。
喰ってみたかったな。
紐で縛って取りだした熊胆は、板材の間にうまく吊るし、日陰に干す。完全に乾燥させればできあがり、消化器系の不調の際には、削って粉にして服用する。ただし、超絶苦いので、現代だったらオブラートに包んで呑むのがいい。
常備薬として、家庭に一箱置いてあったりするこの熊胆。今回のように仕留めた熊から取りだしたものは、このようにしてつくるが、中国などには熊農場なるものがあるらしい。熊を養殖したり、熊を狭い檻に入れ、生きている熊に管を差し込んで、直接胆汁を絞りだすらしい。虐待というよりかは拷問である。それを死ぬまでつづけるという。熊は、肉体的には疲弊し、精神的はおかしくなり、みずから
「わかってる。なにもいうな、斎藤。くそっ!せっかく避けてたってのに・・・。兼定、吠えろ。吠えまくれ。否、兼定の散歩係の主計、身をていしておれを護れ」
「え?ええ?どういう意味・・・?それに、散歩係って・・・」
副長の謎指令もだが、その勢いに困惑してしまう。
「歳っ!何様のつもりなの?ろくに挨拶もせず。そんな無礼な子に育てた覚えはありませぬ」
厨の入り口にあらわれたのは、副長の実のお姉さんののぶさんである。
前回のお芳さんのパワーが、トラウマになっているのであろう。https://hk2019work.bcz.com/2023/04/03/%e3%81%9d%e3%81%86%e8%a8%80%e3%81%86%e3%81%a8%e4%b8%80%e7%a4%bc%e3%81%99%e3%82%8b/ http://jeffrey.revolublog.com/-a213990869 http://tblo.tennis365.net/laurie/2023/04/04/%e3%81%a8%e5%b1%b1%e5%8d%97%e3%81%ae%e7%ab%8b%e5%a0%b4%e3%82%92%e6%82%aa/ 厨のすぐまえでお座りしている相棒が、尻尾を巻いてすごすごと場所をあけるではないか。これは、あの熊本のゆるキャラ、「くOモン」以来のびびりかたである。
厨内にいる全員がそれぞれの作業の掌をとめ、入り口に注目する。
「あ、い、いや、かようなつもりでは・・・。ほら、彦五郎に挨拶したりとか、忙しいからよ」
すごい。あの「鬼の副長」が、しどろもどろになっている。
「問答無用です」
腰に掌をあて仁王立ちで弟を叱るその姿は、まさしく「鬼の副長」の「鬼の姉」っぽい。
大人も子どもも、にやにや笑いながら副長をガン見している。
「新八さん、左之さん、一さん。あななたち、ちゃんと見張っていてくれたのでしょうね?」
矛先が自分たちへ向けられた瞬間、組長たちは最敬礼の姿勢をとる。
「無論です。ですが、おれたちの諫言をきいちゃくれません。昔のまんまです」
「新八っ!」
突如、裏切る永倉。
「ああ、ちっともかわっちゃいないですよ」
さらに、原田まで。
「さようです。副長は昔のまま、なにもかわっていません」
さらに、斎藤まで。「そうですか・・・。それをきいて安心いたしました」
のぶさんの声が、急にやさしくなる。
「三人とも、ありがとう。それと、おかえりなさい。歳、あなたもおかえりなさい。お疲れ様でした」
その涙声でのいたわりの言葉に、思わずぐっときてしまう。
組長たちは、照れ笑いを浮かべている。
「よっしゃ!しばらくはいけるほど、薪割りをやりますよ」
「われこそはってやつは、ついてこい」
「薪割りならば、わたしは負けやしない」
「はあ?なにいってやがる、斎藤。おまえ、昔はへっぴり腰でちゃんと割れなかったであろうが」
「それは平助です、新八さん」
わいわいと騒ぎつつ、組長たちと隊士数名がでていってしまう。
「副長、ゆっくり話をされたらいかがですか?」
「あ、ああ。そうだな」
島田のすすめもあり、副長はのぶさんとでていってしまった。
そしておれたちは、また作業に戻る。
山鳥は、焼き鳥と炊き込みご飯に。ささがきごぼうと細かく刻んだ里芋を入れ、味付けは濃いめ。白米にもち米をまぜ、竈で炊き込む。
熊は、しっかりあくをとった昆布だしをベースに味噌、醤油、少量の砂糖で熊の肉と内臓を煮込み、そこにささがきごぼう、豆腐、ねぎ、きのこをくわえる。
残念ながら、熊の掌は下処理だけで一週間はかかるとのことで、俊冬が佐藤家の料理人に伝えることになった。
中国では、「周の八珍」の一つとして珍重されている熊の掌。かなり高価な食材である。
喰ってみたかったな。
紐で縛って取りだした熊胆は、板材の間にうまく吊るし、日陰に干す。完全に乾燥させればできあがり、消化器系の不調の際には、削って粉にして服用する。ただし、超絶苦いので、現代だったらオブラートに包んで呑むのがいい。
常備薬として、家庭に一箱置いてあったりするこの熊胆。今回のように仕留めた熊から取りだしたものは、このようにしてつくるが、中国などには熊農場なるものがあるらしい。熊を養殖したり、熊を狭い檻に入れ、生きている熊に管を差し込んで、直接胆汁を絞りだすらしい。虐待というよりかは拷問である。それを死ぬまでつづけるという。熊は、肉体的には疲弊し、精神的はおかしくなり、みずから
2023年07月04日は、外で焚いている篝
は、外で焚いている篝火のなか、じつにすがすがしい。
(ええ?まさかこの短時間、しかも、次の間に双子がいるのに、やったってか?)
などと、下世話なことを考えてしまう。
「これでもう、思い残すことはありません。だけど、もう男はこりごり。だゆえに、いらぬ見合い話はけっこうですよ、父上」
草履をはきつつ、父親に忠告するお芳。
「なら、いいたかったってことはいえたんだな?」
「無論です」
父親に、しっかりとうなづいてみせる。
そのお芳さんの背後で、俊冬がこっそり、http://jennifer92.livedoor.blog/archives/30894898.html https://note.com/ayumu6567/n/n8bc4ba88138c http://hk2019work.egloos.com/7022755 俊春の顔面に一撃を喰らわせるジェスチャーをする。
それをみたおれたち全員、思わず に掌をあててしまう。「『くそったれめ。あんたはお人よしすぎるのよ。一人ですべてをひっかぶって恰好つけて。大馬鹿野郎もいいところよ』、そう啖呵をきってやりましたら、すっきりいたしました、父上」
お芳さん、なんて強い なんだ。暇をだされた泣き言とか、会えない寂しさとか、ぶちまけるのかと思いきや・・・。
いや、お芳さん。お人よしは、あなたのほうだ。
気は強いが、思いやりのある江戸っ子。さすがは新門辰五郎の娘。
新門の親分、育て方は間違っちゃいません。厳しいなかでも愛情深く、しっかり育て上げたのです。「歳さん、あんたもお人よしなところがあるから、気をつけなさいよ」
「あ、ああ」
「それから、あんた」
心底ほっとしたの副長の横をすり抜け、お芳は俊春のまえに立つ。
日本、いや、世界最強といっても過言でない俊春が、びくっと体を震わせてから一歩うしろへひく。
「あんたが一番お人よしよ。うつむいてないで、わたしをみなさい。いい男なんだから、抱かれるんじゃなく、抱きなさい。もったいないわよ。一度も抱いたことがないって、世の女がしったら、うんざりするほどよってくるわ」
「ええっ?」
お芳の暴露なのか、それともの副長の横をすり抜け、お芳は俊春のまえに立つ。
日本、いや、世界最強といっても過言でない俊春が、びくっと体を震わせてから一歩うしろへひく。
「あんたが一番お人よしよ。うつむいてないで、わたしをみなさい。いい男なんだから、抱かれるんじゃなく、抱きなさい。もったいないわよ。一度も抱いたことがないって、世の女がしったら、うんざりするほどよってくるわ」
「ええっ?」
お芳の暴露なのか、それともの副長の横をすり抜け、お芳は俊春のまえに立つ。
日本、いや、世界最強といっても過言でない俊春が、びくっと体を震わせてから一歩うしろへひく。
「あんたが一番お人よしよ。うつむいてないで、わたしをみなさい。いい男なんだから、抱かれるんじゃなく、抱きなさい。もったいないわよ。一度も抱いたことがないって、世の女がしったら、うんざりするほどよってくるわ」
「ええっ?」
お芳の暴露なのか、それともをこえる女の勘ってやつなのか、俊冬をのぞく全員が、驚愕の叫びをあげる。
まさか、まさか経験がない?あ、いや、女性との経験がない、と?
篝火のせいじゃない。うつむいているかれのは、真っ赤っかである。その隣で、俊冬は苦笑している。
颯爽と去ってゆく男装の美女と侠客。
「そっか、そうだったのか」
「いやー、まさかな」
がぜんはりきりだす副長と原田。俊春を、左右から腕をまわして肩を組みだす。
「案ずるな。しっかり教えてやる」
「土方さんもちで、吉原にゆこう。なっ?」
副長と原田の謎提案・・・。
「だったら、おれも」
「わたしも」
そして、それにしれっとのっかる永倉と斎藤。
おれも、といいかけ、足元から相棒がみ上げていることに気がつき、言葉を呑む。
「いえ、わ、わたしは・・・」
真っ赤っかのままうつむき、口ごもる俊春。
かなりかわいいかも・・・。
ふふっ、これでいざというときの保険ができた。
いざというときには、鬼にでも悪魔にでもなってやる。 翌朝、警固の隊が到着するとの報が入った。
到着するまでに、引き払えという。
副長は、その高飛車なに快く応じる。
連中をまっていて
(ええ?まさかこの短時間、しかも、次の間に双子がいるのに、やったってか?)
などと、下世話なことを考えてしまう。
「これでもう、思い残すことはありません。だけど、もう男はこりごり。だゆえに、いらぬ見合い話はけっこうですよ、父上」
草履をはきつつ、父親に忠告するお芳。
「なら、いいたかったってことはいえたんだな?」
「無論です」
父親に、しっかりとうなづいてみせる。
そのお芳さんの背後で、俊冬がこっそり、http://jennifer92.livedoor.blog/archives/30894898.html https://note.com/ayumu6567/n/n8bc4ba88138c http://hk2019work.egloos.com/7022755 俊春の顔面に一撃を喰らわせるジェスチャーをする。
それをみたおれたち全員、思わず に掌をあててしまう。「『くそったれめ。あんたはお人よしすぎるのよ。一人ですべてをひっかぶって恰好つけて。大馬鹿野郎もいいところよ』、そう啖呵をきってやりましたら、すっきりいたしました、父上」
お芳さん、なんて強い なんだ。暇をだされた泣き言とか、会えない寂しさとか、ぶちまけるのかと思いきや・・・。
いや、お芳さん。お人よしは、あなたのほうだ。
気は強いが、思いやりのある江戸っ子。さすがは新門辰五郎の娘。
新門の親分、育て方は間違っちゃいません。厳しいなかでも愛情深く、しっかり育て上げたのです。「歳さん、あんたもお人よしなところがあるから、気をつけなさいよ」
「あ、ああ」
「それから、あんた」
心底ほっとしたの副長の横をすり抜け、お芳は俊春のまえに立つ。
日本、いや、世界最強といっても過言でない俊春が、びくっと体を震わせてから一歩うしろへひく。
「あんたが一番お人よしよ。うつむいてないで、わたしをみなさい。いい男なんだから、抱かれるんじゃなく、抱きなさい。もったいないわよ。一度も抱いたことがないって、世の女がしったら、うんざりするほどよってくるわ」
「ええっ?」
お芳の暴露なのか、それともの副長の横をすり抜け、お芳は俊春のまえに立つ。
日本、いや、世界最強といっても過言でない俊春が、びくっと体を震わせてから一歩うしろへひく。
「あんたが一番お人よしよ。うつむいてないで、わたしをみなさい。いい男なんだから、抱かれるんじゃなく、抱きなさい。もったいないわよ。一度も抱いたことがないって、世の女がしったら、うんざりするほどよってくるわ」
「ええっ?」
お芳の暴露なのか、それともの副長の横をすり抜け、お芳は俊春のまえに立つ。
日本、いや、世界最強といっても過言でない俊春が、びくっと体を震わせてから一歩うしろへひく。
「あんたが一番お人よしよ。うつむいてないで、わたしをみなさい。いい男なんだから、抱かれるんじゃなく、抱きなさい。もったいないわよ。一度も抱いたことがないって、世の女がしったら、うんざりするほどよってくるわ」
「ええっ?」
お芳の暴露なのか、それともをこえる女の勘ってやつなのか、俊冬をのぞく全員が、驚愕の叫びをあげる。
まさか、まさか経験がない?あ、いや、女性との経験がない、と?
篝火のせいじゃない。うつむいているかれのは、真っ赤っかである。その隣で、俊冬は苦笑している。
颯爽と去ってゆく男装の美女と侠客。
「そっか、そうだったのか」
「いやー、まさかな」
がぜんはりきりだす副長と原田。俊春を、左右から腕をまわして肩を組みだす。
「案ずるな。しっかり教えてやる」
「土方さんもちで、吉原にゆこう。なっ?」
副長と原田の謎提案・・・。
「だったら、おれも」
「わたしも」
そして、それにしれっとのっかる永倉と斎藤。
おれも、といいかけ、足元から相棒がみ上げていることに気がつき、言葉を呑む。
「いえ、わ、わたしは・・・」
真っ赤っかのままうつむき、口ごもる俊春。
かなりかわいいかも・・・。
ふふっ、これでいざというときの保険ができた。
いざというときには、鬼にでも悪魔にでもなってやる。 翌朝、警固の隊が到着するとの報が入った。
到着するまでに、引き払えという。
副長は、その高飛車なに快く応じる。
連中をまっていて
2023年07月04日プチ池での水上歩行は
プチ池での水上歩行は、あらかじめ水中に杭を打ち込んでいたという。その杭の上を、さも水上をあゆんでいるかのようにみせかけたわけ。
そして、それにつづく「水遁」。
じつは、このプチ池は水脈につながっているらしい。日に二度、ほぼ一定の時刻に、水中から大量の水が上がってくるとか。俊春は、そのタイミングをはかり、水があがってきた瞬間に手刀を打ったという。
かれの手刀の圧で、池が真っ二つに割れ、水柱があがった。さらに、沢村に向けて手刀をふるい、水柱を命中させたわけである。
水脈と同様、この冬の時期、すさまじい突風がおこることがあるらしい。
https://jesonrose.blox.ua/2022/11/22/%e3%80%8c%e8%8f%af%e9%9b%84%e3%81%ab%e5%bc%95%e3%81%8d%e8%bf%94%e3%81%95/ https://josef.blogger.ba/2022/11/22/%e5%85%88%e9%81%a3%e9%9a%8a%e3%82%88%e3%82%8a%e3%81%af%e6%9c%ac%e9%9a%8a%e3%81%8c%e5%be%8c%e3%82%8d/ http://leowatts.mee.nu/ その風の道筋、タイミングをはかったという。
そういえば、そのまえに風がでていた。
俊春は、そのタイミングにその風の通り道に立ち、突風がやってきたと同時に、池のそばに隠していた木刀を打ち振ったわけである。
かれの斬撃による剣風がすごいことは、身に染みてわかっている。
ちなみに、例の沢村を主人公にした漫画では、沢村がおなじ要領で、山からの強風でもって、まるで神風のごとくペリー艦隊の に打撃を与えている。
そして、勝負の決着をつけた「土遁」。
俊春は樹上にのぼり、その枝に準備していた手裏剣を投げ、沢村をある場所へと追い込んだ。
そして、印を結びつつ落下、着地と同時に地面をぶっ叩く。
沢村は、裂けた地面にのまれる・・・。
落とし穴、である。双子が事前に掘っておいた落とし穴に沢村を追い込み、そこへ落したのである。
トリックをきいたあとでも、だれも「なーんだ、つまらぬ」とか、「すごいと思って損をした」など、だれもいわない。
すべてが調べ上げ、緻密に計算し、ことを運んだ成果なのだから。しかも、俊春自身の力によるものもおおきい。「いや、やっぱすごいわ、おまえら」
原田のその一言は、全員、いや、大石をのぞいて、を代表しての讃辞である。
それにしても、おれの心に浮かんだイメージだけで、あそこまで完璧に再現できるのか?
そもそも、それだけのことを思い浮かべたであろうか・・・。
そのことが、一番不可思議である。
翌朝、局長に付き添われ、将軍がわざわざ宿所にきてくれた。
その は、憔悴しきっている。
一晩中、局長に今後の情勢や、幕府に対する想いを語られたらしい。うとうとしようものなら、分厚い掌で両肩をがっしりつかまれ、ゆさぶり死しそうなほど激しく揺らされたとか。
しかし、新撰組がまだ一両日はいるということをきいた将軍は、じつにうれしそうな になった。
それが、印象的であった。
この日、局長は医学所へ戻り、副長のお供で会津の上屋敷にいった。双子も同道している。かえりに、食材も仕入れるという。
もちろん、相棒もいっしょである。
上屋敷での雑務がおわり、日本橋へとむかう。なにゆえか、副長もついてくるという。
まぁ、まがりなりにも新撰組の副長である。その を狙おうというイタい連中がいるかもしれない。
同道してもらったほうが、いいにきまっている。
それが、双子とおれのキモチである。が、副長のキモチは、軍服姿を江戸のすべての女性にみせつけたい、というものにちがいない。
イケメンズに囲まれ、あゆむ。老若男女関係なく、こちらへ注意をそそいでいる。
あらためて、そのことを実感する。
もちろん、人々が注目するのはおれではない。
イケメンズと狼みたいな相棒に、である。
仮の屯所をでるまえ、副長が「相棒の綱を握らせてくれ」、と謎依頼してきた。
十二分にカッコいいのに、これ以上オプションは不要ではないか?
この場合のオプションとは、相棒である。クールな狼みたいな犬をひきつれていたら、よりいっそうカッコよさに磨きがかかる、というわけである。
その謎にして傲慢な依頼を、腐隊士であるおれが断れるわけがない。
そして、それにつづく「水遁」。
じつは、このプチ池は水脈につながっているらしい。日に二度、ほぼ一定の時刻に、水中から大量の水が上がってくるとか。俊春は、そのタイミングをはかり、水があがってきた瞬間に手刀を打ったという。
かれの手刀の圧で、池が真っ二つに割れ、水柱があがった。さらに、沢村に向けて手刀をふるい、水柱を命中させたわけである。
水脈と同様、この冬の時期、すさまじい突風がおこることがあるらしい。
https://jesonrose.blox.ua/2022/11/22/%e3%80%8c%e8%8f%af%e9%9b%84%e3%81%ab%e5%bc%95%e3%81%8d%e8%bf%94%e3%81%95/ https://josef.blogger.ba/2022/11/22/%e5%85%88%e9%81%a3%e9%9a%8a%e3%82%88%e3%82%8a%e3%81%af%e6%9c%ac%e9%9a%8a%e3%81%8c%e5%be%8c%e3%82%8d/ http://leowatts.mee.nu/ その風の道筋、タイミングをはかったという。
そういえば、そのまえに風がでていた。
俊春は、そのタイミングにその風の通り道に立ち、突風がやってきたと同時に、池のそばに隠していた木刀を打ち振ったわけである。
かれの斬撃による剣風がすごいことは、身に染みてわかっている。
ちなみに、例の沢村を主人公にした漫画では、沢村がおなじ要領で、山からの強風でもって、まるで神風のごとくペリー艦隊の に打撃を与えている。
そして、勝負の決着をつけた「土遁」。
俊春は樹上にのぼり、その枝に準備していた手裏剣を投げ、沢村をある場所へと追い込んだ。
そして、印を結びつつ落下、着地と同時に地面をぶっ叩く。
沢村は、裂けた地面にのまれる・・・。
落とし穴、である。双子が事前に掘っておいた落とし穴に沢村を追い込み、そこへ落したのである。
トリックをきいたあとでも、だれも「なーんだ、つまらぬ」とか、「すごいと思って損をした」など、だれもいわない。
すべてが調べ上げ、緻密に計算し、ことを運んだ成果なのだから。しかも、俊春自身の力によるものもおおきい。「いや、やっぱすごいわ、おまえら」
原田のその一言は、全員、いや、大石をのぞいて、を代表しての讃辞である。
それにしても、おれの心に浮かんだイメージだけで、あそこまで完璧に再現できるのか?
そもそも、それだけのことを思い浮かべたであろうか・・・。
そのことが、一番不可思議である。
翌朝、局長に付き添われ、将軍がわざわざ宿所にきてくれた。
その は、憔悴しきっている。
一晩中、局長に今後の情勢や、幕府に対する想いを語られたらしい。うとうとしようものなら、分厚い掌で両肩をがっしりつかまれ、ゆさぶり死しそうなほど激しく揺らされたとか。
しかし、新撰組がまだ一両日はいるということをきいた将軍は、じつにうれしそうな になった。
それが、印象的であった。
この日、局長は医学所へ戻り、副長のお供で会津の上屋敷にいった。双子も同道している。かえりに、食材も仕入れるという。
もちろん、相棒もいっしょである。
上屋敷での雑務がおわり、日本橋へとむかう。なにゆえか、副長もついてくるという。
まぁ、まがりなりにも新撰組の副長である。その を狙おうというイタい連中がいるかもしれない。
同道してもらったほうが、いいにきまっている。
それが、双子とおれのキモチである。が、副長のキモチは、軍服姿を江戸のすべての女性にみせつけたい、というものにちがいない。
イケメンズに囲まれ、あゆむ。老若男女関係なく、こちらへ注意をそそいでいる。
あらためて、そのことを実感する。
もちろん、人々が注目するのはおれではない。
イケメンズと狼みたいな相棒に、である。
仮の屯所をでるまえ、副長が「相棒の綱を握らせてくれ」、と謎依頼してきた。
十二分にカッコいいのに、これ以上オプションは不要ではないか?
この場合のオプションとは、相棒である。クールな狼みたいな犬をひきつれていたら、よりいっそうカッコよさに磨きがかかる、というわけである。
その謎にして傲慢な依頼を、腐隊士であるおれが断れるわけがない。