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2023年09月10日

ことはないはず。

ことはないはず。

「というわけだ、ぽち。さっさと後片付けをすませ、海江田先生にボコられろ」
「されど、わたしなど・・・・・・」

 副長の現代語をまじえた命令に、http://jennifer92.livedoor.blog/archives/33234359.html https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/09/10/020418?_gl=1*1sv38ee*_gcl_au*NDk5MTMyMTEwLjE2OTI0NTg3NDE. https://travelerbb2017.zohosites.com/ 俊春は当惑しているふりをよそおっている。

「西郷さん、余興にいかがですか?ぽちがキャンキャン鳴くところをご覧になって、笑ってやってください。昼間のことなど忘れさせてくれますよ。大丈夫です。ぽちは、すべて心得ています」

 副長は、暗にいっているのである。

『色目をつかう海江田に、教育的指導をおこなう程度ですませる』、ということを。

「そいでは、見物させてもれもんそ」

 西郷は、苦笑しつつ答えた。

「副長。それにしても、先夜からとんでもない提案ばかりされてますよね」

 厨でせっせと俊春の手伝いをしながら、副長に尋ねてみた。

 もちろん、副長が手伝いなどするわけもなく、「もっときびきび動け」だの「置く位置が気味が悪い。ずらせ」とか、俊春よりも指示をだしまくっている。

「たしかにな。だれかさんは、自身ではなーんもせぬのに、ムチャぶりばかりおしつけてる。ぽち、嫌だったらはっきり断っていいんだぞ。だれかさんの欲求を満たしてやる必要なんざないんだし、おまえにはおまえのかんがえがあるであろうからな」
「なんだと、新八?おれにだってかんがえがあるんだ。なにも、伊達や酔狂でいってるんじゃねぇ」
「ふーん」

 思わず、永倉と島田とおれがかぶってしまった。「おまえらなぁ・・・・・・。掌がとまってるぞ。はやくしやがれ」

 副長に一喝され、慌てて食器を拭くのを再開する。

「薩摩の連中は、おれたちとおんなじだ。口でどうこういうよりも、ぶつかりあったほうがわかりやすい。ちょっとひねってやれば、あっちもムダに恨んだりへんな気をおこしたりせんだろう」

 副長は、そういってからクックと笑う。

「しかし、恥はかかせるなよ、ぽち」
「おいおい土方さん。ずいぶんと注文がおおいじゃないか。さっきのあんたのいい方だと、ぽちは剣術の才能のない小者ってことになる。それが胸を借りる名目で一泡吹かせるってことになったら、あっちは恥をかかざるを得ぬであろう」

 永倉が呆れかえったようにいうと、副長はまたクックと悪意のある笑いかたをする。

「そうだったか?まっ、いいんじゃねぇか?おれの仲間に色目を遣うやつなんざ、たとえ将軍であっても許さねぇ。それ相応の報いは受けてもらわねばな。西郷さんには悪いが、それとこれとは話がちがう」

 不意に、副長のがかわった。

 話題の俊春も含め、全員が作業の掌をとめて副長に注目した。

 将軍であっても許さねぇ・・・・・・。

 寛永寺での一件では、実際、副長は俊春を抱いた将軍を許さなかった。
 和解はしたものの、あのときの副長は、井上をはじめとした仲間やを戦で亡くしたときと同様怒りに苛まれ、悲しんでいた。

 もちろんそれらは人にしられることなく、ではあるが。

 さらには、自分の無力さを呪ってもいた。

「土方さん・・・・・・」

 永倉が、感動したかのようにつぶやく。

「あんたの気持ち、おれもよくわかる。おれも許さねぇよ。だが、そこまでのたまうんだったら、フツーあんた自身が目にものみせないか?それを当人にやらせるって、いったいどうよっていいたいんだが?」

 現代っ子ふうに、非難する永倉。

 厨にある燭台から、チリチリと音がきこえてくる。それから、じつに愉しそうな笑い声が、どこかから流れてくる。

「あああ?新八、なに寝とぼけたこといってやがる。おれは、副長だ。口でいうだけだ。言の葉が武器であり、攻撃だからな。あとは、当人同士でをつけりゃいい。そういうもんだ」

 もはや、燭台から音もきこえないし、どこかから笑い声も風にのってこない。

 さすがは「キング・オブ・副長」である。もうすこしで、世界の偉人やセレブの名言のごとく感心し、納得してしまうところであった。

 永倉と島田とともに、副長から俊春へとを移す。

 しばらくの間、かれは無言のままポーカーフェイスを保っていたが、ややあって動いた。

 かれの右掌がゆっくりと上がってゆく。それがそのまま、右耳に添えられて…・・・。

「ソーリー」

 かれはネイティブよりもきれいな発音とともに、耳がきこえぬとジェスチャーをするという神対応で、副長の驚くべき持論をかわしたのであった。

 
 なーんもしない副長の采配のもと、とっとと片づけをおえた。
 結局、副長は最初から最後まで、箸一本もちあげて抽斗にしまうことすらしなかった。
 
 いくら超イケメンとはいえ、夫にしたら手伝い一つしてくれないのだ。奥さんはきっと、不満に思うだろう。超イケメンも、結婚すればただの夫。結婚するまでは、連れあるいたら自慢できるし、まわりからうらやましがられるだろう。だが、結婚すればぶっちゃけ実務に徹してもらったほうがずっといいにきまっている。

 みてくれで家事が楽になるわけないんだから。
 
 それだけではない。



Posted by Curryson  at 02:07 │Comments(0)

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