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Posted by 京つう運営事務局  at 

2024年01月30日

「あの!今日はちょっと急いでて…。」

「あの!今日はちょっと急いでて…。」


折角お会いしたのに申し訳ないと眉を垂れ下げてぺこぺこ頭を下げた。


『こちらも急いであなたを連れ出したいんですけどね。それにしても化けたなぁ。』


久坂は弱々しく床で横たわっていた姿から想像もつかないと感心した。
だが久坂も悠長にしていられない。何せ桂に見つかる前に三津を攫わなきゃならないから。



「おや,お三津さん帯が少し歪んでしまっていますよ。」 http://johnsmith786.zohosites.com/ https://carinacyril.livedoor.blog/archives/1729889.html http://carinacyril.blogg.se/2024/january/entry.html

「えっ嘘!」


三津は体を捻って帯を確認しようとした。


「この人ですからね。ぶつかってしまったのかもしれません。直して差し上げますのでこちらへ。」


久坂が手招きすると三津は素直について来た。


『簡単な娘で助かる…。全く稔麿にも参ったね。』


吉田に唐突に言われたのだ。"三津を攫って来て欲しい"と。


『別に難しい事じゃないよ。桂さんの邪魔をしたいだけ。でも俺が連れ出そうとしても約束があるの一点張りでついて来ないだろうけど玄瑞ならちょっと声をかければ付ついて来る。』


そう言って笑う吉田を思い出していた。全くその通りでこの娘は大丈夫か…とさえ思った。


後は連れて帰るだけ。早々にこの場から離れようとしたのだが,


「えっ!お三津!?」


思わぬ邪魔が入った。


「……藤堂さん!!」


『げっ!』


藤堂と言えば新選組の中でも幹部じゃないか。久坂にとっても相手が悪い。


「わぁわぁ綺麗すぎてびっくりした!どうしたの!?」


『土方さんに続いて藤堂さんまで……。』


綺麗だと褒められているのにちっとも嬉しくない。桂の安否がより心配になっただけでまたも泣きそうになる。


藤堂の周りには何人か見た事のある顔がいて巡察中なのが分かった。


「どうしたの泣きそうな顔して…。一人?迷子?」


「いや今は先生と…あれ?先生?」三津が振り返ると久坂の姿は忽然と消えていた。
だけども今はそれどころではない。


「何?誰かとはぐれちゃったの?」


『正式にはこれから会うんだけど…。』


何も説明出来ないし何より非常に面倒な事態。三津は口をへの字のままにこくこくと頷いた。


「あちゃ。きっと相手も探してるだろうね。でもこう言う時はあんまり動かず目立つ場所で待ってる方がいいよ?」


『待ちたいけど目立ちたくない…。』


そして待ち合わせ場所に行きたい。


「見つかるまで一緒に居てやるよ!」


「それはアカン!」


それだけは一番駄目だと思うが故に即答してしまった。
しまったと思って両手で口を塞いで藤堂を見ると,きょとんとしてしまっていた。


「えっ何で?」


「あのその…藤堂さんお仕事中やのに私の私情に巻き込む訳には…。」


しどろもどろに苦しい言い訳を並べておどおどしていると藤堂はなぁんだ!と笑った。


「隊務の事心配してくれてたの?それなら大丈夫だよ。事情説明して別行動すればいいだけだから!」


『いや,そうやないんやけど…。』


藤堂と一緒に居たんじゃ待ち合わせ場所に行くどころか桂に会う事は出来ない。


「大丈夫!一人で大丈夫!」


もう言い訳が思い付かないから心配いらないと目で訴えた。


「そう?今長州の奴らが彷徨いてるらしいから気を付けなよ?」


「え!見たんですか!?」


遅かったもう見つかってしまったらしい…。三津は両手で頬を覆って青ざめた。


「だから土方さんおったんや…。」


「お三津土方さんに会ったの?」


これも縦に首を振って答えた。ぶつかって肩を掴まれて怖かったと訴えた。


「そっか。お三津は長州側に顔が知れてるし土方さんや俺らと一緒に居る方が危ないかもね。」


また土方の女と間違えられちゃ困るねと苦笑いを浮かべた。


「いえ!心配してくれてありがとうございます!藤堂さんもお…お気を付けて!」


「うん!じゃあまたね!」


最後は無邪気に笑った藤堂を三津も笑顔で見送った。


『お仕事頑張って…って言えんかったな…。』


彼らが頑張れば大好きな人とその仲間が傷付く事になってしまう。
  

Posted by Curryson  at 19:42Comments(0)

2024年01月29日

喉を鳴らしながら近付くと大きな子

喉を鳴らしながら近付くと大きな子供の目が点になる。


「吉田さん!また抜け出して!?」


「まさか!優秀な友達のお陰で自由の身だよ。それよりもこの俺を差し置いて誰と初詣に行ったの?怒らないから言ってごらん?」


気持ち悪いほど満面の笑みを浮かべる吉田がじわりじわりと詰め寄り,危機感を覚えた三津は二歩,三歩と後退り。
その間で宗太郎が交互に二人の顔を見た。


「見…見てはったん?」 https://carinacyrill.blogg.se/2024/january/entry.html https://carina.asukablog.net/Entry/3/ https://johnn.3rin.net/Entry/3/


「俺の優秀な友達がね。たまたま初詣に行ったら君が子供と斎藤一と仲良く親子のように歩いてるのを見たってね。」


「さ…斎藤さんとはたまたま会っただけで!」


「せやで。斎藤は俺が見つけたんや。」


宗太郎が吉田の前に立ちはだかり三津に近付くなと言わんばかりに睨み付けた。


「こら宗,吉田さんはうちのお客さんやねんから。」


そんな顔しないのと言ったがあからさまに不信感を抱いた目で吉田を見ていた。


「へぇ…たまたま会っただけなの。まぁ子供もそう言ってるし間違いないだろうね。口裏合わせなんてする訳ないだろうし。」


それなら許すとふんぞり返った。


「吉田さんの方こそお友達がたまたま初詣ってホンマに?」


「珍しく疑うんだね?」


「だって…。」


あんな事があった後だから,逃げ出した自分をまた捕まえる機会を窺ってるのではと思う。
あの時三津が間者でも土方の女でもないと言っても分かってくれたのは桂と吉田だけ。いくら吉田の友達と言えど,すんなり信じてくれる保証はない。


「三津いじめんなや。」


三津がしゅんとしてしまったから宗太郎は吉田に敵意を剥き出しにした。


「宗!ちゃうねん,ちょっと吉田さんとお話しあるからみんなと遊んどって?」


『ちょっとお話し?ちょっとじゃ済まないんだけど俺は。』宗太郎の前では話難くて二人で離れたものの,また誰かに見られてるのではと三津は挙動不審。きょろきょろと周囲を見渡す。


「やたら警戒するね。今更だけど。」


余計に目立つし怪しまれるから止めてくれと三津の頭を鷲掴みにした。


「そりゃしますよ。吉田さんのお友達も私の事監視してはったんでしょ?」


『斎藤さんの言ってた殺気はきっとそのお友達さんやわ…。』


そしてそのお友達とやらが帰って自分の事をなんて伝えたのか。


「そうそうちゃんと甘味屋で普通の生活出来てるか確認してもらってたの。
それに三津は偉いね,新選組だけじゃなく他のみんなにも長州藩士に拐われたって言わなかった。」


鷲掴みにした手で今度は偉い偉いと撫でてやった。


「そりゃ…。迷惑かけたくないもん…。」


吉田の様子から悪いことは言われてないのかな?と思い少しほっとしたが,吉田はムッとした。


『はいはい,桂さんの邪魔者にはなりたくないんだよね。』


それに加えて宗太郎に店のお客と紹介されたことが気にくわなかった。
桂の事は何と紹介するんだ?と考えると胸の辺りがモヤモヤする。だから口調も少しばかりきつくなる。


「斎藤一もたまたまだと思う?」


油断も隙もない奴らばかりだと吐き捨てた。
そう言われて押し黙る三津。確かに一人で壬生から離れた神社にお詣りなんて不自然だもの。


『三津を連れ戻すために様子窺いに来てるのかそれとも斎藤一の個人的な事情か…。』


頭を抱えて唸る三津を横目で眺めながら考える。斎藤が居た理由が後者であって堪るものか。


「そうなんですよね…。斎藤さんってよく私の近くに居てるんですよ…。もしかしたら今も居るんじゃ!?吉田さん!逃げて下さい!」


「やだね。」


さっきまで優しく頭を撫でた手で三津の頬をつねり上げた。


「向こうは俺の事なんて知らないよ。だからもし何かあっても私の良い仲の人って答えてればいいんだよ。何の問題もない。」


「いや問題しかないです。良い仲って何ですか。」



口を尖らせ抗議する三津に吉田の口角がきゅっと上がる。
それから頬をつねり上げていた手が輪郭をなぞるように顎に添えられ,三津の視界は吉田の顔だけになった。
  

Posted by Curryson  at 23:04Comments(0)

2024年01月24日

「あの明日から十日間甘味屋に帰

「あの明日から十日間甘味屋に帰るんで仕事やってしまわんとアカンのやけど…。」


「十日ですか。土方さんも随分と思い切りましたね。」


三津は頭を冷やせと言われた事を説明した。
正直考え直せるかは分からないと不安も吐露した。


「土方さんは切腹を考え直してはくれないんやろうけど…。」 http://jennifer92.livedoor.blog/archives/34871682.html https://note.com/ayumu6567/n/n313699d40ed2?sub_rt=share_pb https://community.joomla.org/events/my-events/yatto-bu-wuni-tireta-zhai-tengga-zhang-ziwo-kaikeruto.html


「切腹は武士にとって名誉ある死ですからねぇ。」


それには三津も渋い表情を浮かべた。


「死ぬ事に名誉なんてないでしょ…。
別に罰なら他にも何かあるでしょ?
切腹の必要はないやんね?」「もう決まった事ですし,私は近藤さんと土方さんに従います。
斬首でなく切腹出来る事は武士には誉れです。
これも考えがあっての規律ですから,だからね三津さん…。」


――あなたにはここの女中は勤まりません。
もうそのまま甘味屋の看板娘に戻って下さい。


自分も人を殺める人間だ。切腹の介錯も務める。
だから存分に嫌って,目の前から姿を消して。


そう告げたかった。
それで嫌われてしまいたかった。


「もし危険な状況になって,逃げられるかもしれへんのに逃げたりはせんの?」


でも三津は言葉を遮って,言わせてくれなかった。
思いつめた顔で総司をじっと見つめた。


「敵前逃亡は武士道に反します。どちらにせよ切腹です。死は免れません。」


「ホンマに…死ぬ事に躊躇いはないんや?」


「そうじゃなきゃ武士にはなれませんよ。」


どうにか三津に軽蔑されたくて他人事のような,突き放した口調になる。


土方は三津を手離す気はないようだ。だったら帰って来ないようにするまで。


『三津さんはここに居る限り苦しみ続けるんだ…。
私達とは理解し合えない。』


三津の目が次第に潤みだした。
ここで一発土方を殴ったように平手を見舞ってくれたらと,ぐっと歯を食いしばった。


「沖田さんも…。」


三津は涙が零れないように少し上を向いたり,瞬きをするのも慎重になった。


『私の事も酷い奴って言うのかな。』


その言葉を望んでいるのに,腹は括ったのに,気持ちはそうじゃない。
自分の真意を,立場を分かって欲しいと僅かな希望を秘めている。


「沖田さんも私を置いて逝ってしまうん?」


三津の視界はぼやけて,どんどん総司が滲んでいく。
遺される方の気持ちを考えてはくれないんだと思うともう我慢出来なかった。


「ごめん!胸借りる!」


たまらず総司の胸に飛び込んだ。
涙は止められないけど,必死に嗚咽は喉の奥に押し止めた。


『自分で胸を貸しますなんて言っといて,どうしたらいいのか…。』


総司は両手を宙にさまよわせて三津の背中に回しかけては引っ込めた。


三津は生きて傍に居て欲しいと願う。
でも総司は明日の我が身さえ保証されない。


慰められない。守ってあげるなんて軽々しく言えない。


『きっとこれが最初で最後だ…。』


総司は包み込むように三津を抱き締めた。「じゃあ…ご迷惑おかけしますが…。」


見送りに来てくれた隊士達一人一人の顔を見渡してから,ぺこりと頭を下げた。


「ゆっくり休んでくれよ。」


「いや,でも早く帰って来て欲しい気もするんだがなぁ。」


三津の出立を阻むように周囲を囲んだ。
その中に土方と総司の姿が無いのが,三津にとって何だか寂しくもあった。


「これじゃあ埒があかん。行くぞ。」


斎藤は三津の腰にそっと手を添えて自然に歩き出させた。
密着する程の距離をまざまざと見せつけながら屯所を出た。


『斎藤さんめ…態とだな…。』


「そんな目で睨むぐらいなら堂々と見送りに行きゃあ良かっただろうが。」


物陰に隠れて覗き見ていた総司の頭上から土方の声が降ってきた。


「それが出来ないからここに居るんです。私には三津さんの傍に居る資格はないんです。」


ふいっと顔を反らして哀愁漂う背中を向けた。
  

Posted by Curryson  at 19:10Comments(0)

2024年01月23日

翌日予定通り,隊士の切腹は執り行われた

翌日予定通り,隊士の切腹は執り行われた。
斎藤が介錯を引き受けたと聞いた。


切腹した隊士を悼んで涙する者,自分はああなるまいと表情を堅くする者。
その後の反応はさまざまで三津は勿論涙する側。


「お三津ちゃんもう泣きやみなって…美人さんが台無しだからさぁ…。」


一応人目を忍んで庭の隅でうずくまって泣いていたのに,いつの間にやら隊士達に慰められていた。


「あい…でも止まらないんです…。」 https://classic-blog.udn.com/79ce0388/180281635 https://classic-blog.udn.com/79ce0388/180281643 https://freelancer.anime-voice.com/Entry/68/

顔をくっしゃくしゃにして,ぐずぐず鼻を啜りながらボロボロ泣いた。


「お三津ちゃんはこんなに優しいのによぉ…。」


「あぁ,幹部の連中は涙流す所か表情一つ変えやしねぇ…。」


血も涙もない奴らだと,隊士達はぼやいた。


『あ…否定出来ないや…。』


前ならみんなの人柄も知らないでそんな事言わないで。
そう言って怒ったと思う。


なのに今の三津には身内が言う悪口をも,その通りだと思えてしまった。


『人の命何やと思ってるんやろ…。
命より大事なもんあったら教えてよ…。』


本当に人が死ぬのを何とも思わないのかと疑ってしまった。
初めて彼らとの間に温度差を感じた。


彼らの本当の姿がどれだか分からなくなった。
もやもやした気持ちで仕事に向かった。


「いやっ,お三津ちゃん何ちゅう顔してんの!」


泣き疲れた顔をたえに両手で挟まれた。
ちゃんと顔は洗って来たんだけど思った以上に酷い顔らしい。


「もうちょっと休んどき。」


台所を追い出されそうになったのを踏みとどまった。


「もう十分泣いたんで気は済みました。」


へらへら笑ってみせるけど,内心は複雑で,女中の仕事を離れて土方の元に行くのが嫌なのが正直な所。


「自分の部屋に戻りぃな。」


たえは三津の心を見透かしたように笑って背中を叩いた。
ここは素直に甘えようと三津は頷いて台所を出た。




ぼーっとしながら部屋に向かって歩いていると竹刀を振る音が聞こえて来た。


その音がする方を見ると稽古に励む隊士の姿が目に飛び込んで来た。


「うっ…!!」


吐き気に襲われ両手で口を覆い,そのまましゃがみ込んだ。


何度も繰り返される素振りに,新平が斬られる瞬間が重なった。


どうしてこんなに鮮明に思い出せるんだろう。


身を切り裂いた音,地面に滴る血,うつ伏せに倒れてしまった彼。新平を忘れたくはないけど,彼の変わり果てた姿は思い出したくない。


じわじわと地面に染み込んでいく血が脳裏に浮かぶと血生臭さまで思い出す。
今,目の前に夥しい血が流れてるみたいに。


「うっ,うぇっ…!!」


激しく嘔吐いてその場にうずくまった。


「お三津ちゃんどうした!?」


側にいた隊士に背中をさすられるけど嗚咽は止まらない。


「大…丈夫…。おっかしいなぁ…はは…。」


込み上げてくるものを抑えて笑って見せる。


「大丈夫やから誰にも言わんとって下さいね。」


青白い顔をしながら笑ってみせて,ふらふら部屋に戻った。


何にもない部屋に寝転がって少し吐き気は落ち着いた。
畳の匂いに気が紛れていった。


久しぶりに号泣したせいか,凄く体力を消耗した気がする。目を閉じてすぐに眠りに堕ちた。





夢を見た。新平が笑顔で手招きをしている。
嬉しくてすぐに駆け寄って彼に抱きついた。


しっかりとした腕が自分を抱きしめてくれるのを感じながら,広い胸に顔を埋めた。


彼の匂い,彼の温もり,あぁ私幸せだ。


「新ちゃん,大好き。」


両腕に力を込めてぎゅっと抱きしめる。


その手にぬるっとした感触がした。凄く嫌な感触だった。


すると抱きしめてくれていた腕が解かれていく。


「新ちゃん?」


三津の呼びかけに答える事なく新平の体はぐらりと揺らいだ。
そのまま三津の腕からすり抜けて,倒れてしまった。
  

Posted by Curryson  at 17:42Comments(0)

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