2024年05月09日「まだ乳繰りあっとる途中や。
「まだ乳繰りあっとる途中や。邪魔すんな。」
山縣はあえて入江の怒りを煽りに行った。すると分かりやすく入江の目元が引き攣った。ようやく日頃の仕返しが出来るとほくそ笑んだが,
「お前には千年早いわ。」
入江は刀を握ってない左手で山縣の髪を鷲掴みにした。
「いっ!いでぇぇぇ!!卑怯者ぉぉぉ!!」
てっきり刀で対抗してくるとばかり思っていた山縣は気持ち悪いほど綺麗に作られた笑みの入江に悪態をついた。
「は?卑怯?言っとる意味が分からん。三津離さんのやったらこのまま頭皮剥がすぞ。」
入江から飛び出したとんでもない発言に山縣と共に三津も体を震わせた。普段穏やかな入江からまさかそんな暴力的な発言が飛び出すとは。吉田じゃあるまいし。
「九っ……九一さん……その辺で止めてあげて……。」
「有朋が三津離すのが先。」 https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202405030000/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/29dfcc15c7477e214b10b7119453c90a https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/05/03/004647?_gl=1*1wq9vb7*_gcl_au*NjYyNTYyMDMxLjE3MDkwNDE3OTU.
それを聞いて山縣は即座に三津を解放した。入江はそれで良しと刀を収めて三津を自分の方へ引き寄せた。
「まだっ……嫁ちゃんと話の途中やったのに……。」
山縣は両手で頭を抱えながら声を震わせた。半泣きである。
「山縣さん,今すぐ気持ちが整う訳やないんで心に違和感を感じたらその都度お話聞きますから。だから今全て解決しようとせんでいいんですよ。」
「嫁ちゃん……。」
半泣きだった山縣の両目からぼたぼたと涙が零れ落ちた。その様子に入江はさっきの行動は流石に大人げなかったなと反省した。
「有朋,今まで私らは堪えんにゃいけんかったかもしらん。でも今ここではそうする必要は無い。」
入江の言葉に山縣は無言で何度も頷いた。ただ声を上げて泣くのはやはり抵抗があったのか,歯を食いしばって声を押し殺して泣いていた。
その夜,入江は布団に寝転がり天井を見つめたままぼんやりしていた。
「有朋のあんな姿見るとは思わんかったな。」
「本当は繊細な方なんですね。」
その左隣りの布団で横になっていた三津も同じ様に天井を見つめて呟いた。
「……よく分からんが何故こうなった?」
そして三津の左隣りに寝そべる桂。狭いこの部屋で何故か三津を真ん中にして三人川の字になっている。入江は桂の方へ体を向けて含みのある笑みを向けた。
「たまにはええやないですか。」
「良くない。あらぬ噂立てられて困るのは三津だ。」
桂は三津越しにじっとりした目で睨んだ。この部屋で三人で寝るだなんて何を言われるか分かるだろうと捲し立てた。
「確かに困るので私は九一さんの部屋行きますね。」
どうせお前が出てけの応酬がなされるのだからここは私がと三津は起き上がった。
「三津もたまには一人でゆっくり寝たいやろ。今日はあっちで寝り。」
入江から予想に反する事を言われて三津と桂は二人して目を丸くして言葉を失くした。
「……ではお言葉に甘えて。」
「えっ!?私を九一の餌食にする気か!?」
桂は取り乱し,素直に布団を運び出そうとする三津の腕を掴んで必死に引き留めようとした。
「たまには男同士でお話するのもいいと思いますよ?じゃあおやすみなさい。」
三津は布団を抱え,笑みを残して部屋を出た。
「木戸さんはいつまで私に襲われると思っちょるん?私は男に興味ないです。そっちの趣味ないです。」
入江は馬鹿な人だなと喉を鳴らして笑った。吉田もその辺は純粋に信じてたなと思い出した。
ずっと揶揄われてたと気付いた桂は顔を真っ赤にした。信じた自分が恥ずかしいやら情けないやら,ずっと騙してきた入江が腹立たしいやら。
色んな感情が渦巻いた結果,盛大な溜息を一つついた。
山縣はあえて入江の怒りを煽りに行った。すると分かりやすく入江の目元が引き攣った。ようやく日頃の仕返しが出来るとほくそ笑んだが,
「お前には千年早いわ。」
入江は刀を握ってない左手で山縣の髪を鷲掴みにした。
「いっ!いでぇぇぇ!!卑怯者ぉぉぉ!!」
てっきり刀で対抗してくるとばかり思っていた山縣は気持ち悪いほど綺麗に作られた笑みの入江に悪態をついた。
「は?卑怯?言っとる意味が分からん。三津離さんのやったらこのまま頭皮剥がすぞ。」
入江から飛び出したとんでもない発言に山縣と共に三津も体を震わせた。普段穏やかな入江からまさかそんな暴力的な発言が飛び出すとは。吉田じゃあるまいし。
「九っ……九一さん……その辺で止めてあげて……。」
「有朋が三津離すのが先。」 https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202405030000/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/29dfcc15c7477e214b10b7119453c90a https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/05/03/004647?_gl=1*1wq9vb7*_gcl_au*NjYyNTYyMDMxLjE3MDkwNDE3OTU.
それを聞いて山縣は即座に三津を解放した。入江はそれで良しと刀を収めて三津を自分の方へ引き寄せた。
「まだっ……嫁ちゃんと話の途中やったのに……。」
山縣は両手で頭を抱えながら声を震わせた。半泣きである。
「山縣さん,今すぐ気持ちが整う訳やないんで心に違和感を感じたらその都度お話聞きますから。だから今全て解決しようとせんでいいんですよ。」
「嫁ちゃん……。」
半泣きだった山縣の両目からぼたぼたと涙が零れ落ちた。その様子に入江はさっきの行動は流石に大人げなかったなと反省した。
「有朋,今まで私らは堪えんにゃいけんかったかもしらん。でも今ここではそうする必要は無い。」
入江の言葉に山縣は無言で何度も頷いた。ただ声を上げて泣くのはやはり抵抗があったのか,歯を食いしばって声を押し殺して泣いていた。
その夜,入江は布団に寝転がり天井を見つめたままぼんやりしていた。
「有朋のあんな姿見るとは思わんかったな。」
「本当は繊細な方なんですね。」
その左隣りの布団で横になっていた三津も同じ様に天井を見つめて呟いた。
「……よく分からんが何故こうなった?」
そして三津の左隣りに寝そべる桂。狭いこの部屋で何故か三津を真ん中にして三人川の字になっている。入江は桂の方へ体を向けて含みのある笑みを向けた。
「たまにはええやないですか。」
「良くない。あらぬ噂立てられて困るのは三津だ。」
桂は三津越しにじっとりした目で睨んだ。この部屋で三人で寝るだなんて何を言われるか分かるだろうと捲し立てた。
「確かに困るので私は九一さんの部屋行きますね。」
どうせお前が出てけの応酬がなされるのだからここは私がと三津は起き上がった。
「三津もたまには一人でゆっくり寝たいやろ。今日はあっちで寝り。」
入江から予想に反する事を言われて三津と桂は二人して目を丸くして言葉を失くした。
「……ではお言葉に甘えて。」
「えっ!?私を九一の餌食にする気か!?」
桂は取り乱し,素直に布団を運び出そうとする三津の腕を掴んで必死に引き留めようとした。
「たまには男同士でお話するのもいいと思いますよ?じゃあおやすみなさい。」
三津は布団を抱え,笑みを残して部屋を出た。
「木戸さんはいつまで私に襲われると思っちょるん?私は男に興味ないです。そっちの趣味ないです。」
入江は馬鹿な人だなと喉を鳴らして笑った。吉田もその辺は純粋に信じてたなと思い出した。
ずっと揶揄われてたと気付いた桂は顔を真っ赤にした。信じた自分が恥ずかしいやら情けないやら,ずっと騙してきた入江が腹立たしいやら。
色んな感情が渦巻いた結果,盛大な溜息を一つついた。
2024年05月09日そこまで言うなら一旦話し合おうか
そこまで言うなら一旦話し合おうか。いいぞ言い分くらい聞いてやる。三津は満面の笑みで吉田をチラつかせた。
「高杉さん,私すみさんが激怒した理由はよぉぉぉく分かります。サヤさんもね?女の敵は生かしておかない部類の方なんですよ。」
「待て!あの醜女を女として見てやってるのに何で怒る!?女として見られてる事を喜ぶべきやろ!?
ぬぁぁぁ!!待てっ!!振り上げ禁止!!三津さんの握力じゃ稔麿絶対手から離れるっ!!」
大刀より扱いやすいとは言え,使い慣れてない三津がそんな刃物を振り上げると振り下ろす前に手からすっ飛ぶ可能性は大いにある。
高杉は顔を真っ青にして自分を仕留めに来ようとする三津を必死に制した。
傍観していた入江は,それもそうだなと背後から振り上げた手首を掴んだ。そして耳元で甘ーく囁いた。
「三津の可愛い手が落ちてもいけん。怪我する前に貸して?」 https://carinacyril.livedoor.blog/archives/2774957.html https://carinacyril.blogg.se/2024/may/entry.html https://paul.asukablog.net/Entry/5/
「そっ!そんな耳元で言わんでも聞こえますっ!」
三津は顔を真っ赤にして入江から飛び退いた。相変わらずいい反応するなぁと笑いながら,入江は吉田の剣先を高杉へと向けた。
「罰なら私が与えよう。」
「満面の笑顔で言う事か。」
高杉は口をへの字に曲げたが,長年の付き合いでこれはじゃれ合いだと確信を持てるから多少なりとも安堵した。三津の場合は何を仕出かすか分からない怖さがある。
「前にも木戸さんにこてんぱんにやられたやろが。」
山縣は前回の粗末なブツ御開帳事件を思い出して懲りねぇなぁと鼻で笑った。文や三津に対する無礼は命取りだと言うのに。
「それが俺やろが。」
立てた親指でビシッと己を指す高杉に全員が“まぁねぇ”と笑った。
「それに罰なんか与えんでも勝手に死による。」
「……お前がその冗談言うのは狡いっちゃ。」
入江は他人事みたいに欠伸をする高杉の頭を軽く叩いた。
「別に気にする事でもないやろ。誰だっていつかは死ぬ。それが早いか遅いかだけの事。俺はたまたま時期が見えとるだけ。
もしかしたら今日の帰りに有朋が馬に蹴られて死ぬかもしれん。」
「おい,俺を殺すな。」
高杉は真顔で詰め寄る山縣をけたけた笑った。
「先生も言っちょったやん。今日と言う同じ日は二度と来ん。やけぇ俺は自分に嘘つく生き方したくなかったんじゃ。己に従って生きる。」
「だとしても文ちゃんに手ぇ出すのは命知らずもええとこやったけどな。あの時の先生の顔……。今でも忘れん……。般若……般若みたいな顔……。」
入江は手の甲を口に当てて込み上げて来る笑いを押し留めようとした。政で感情的に論じる師の姿は何度も見て来た。だが妹に関して感情を顕にして怒り狂う姿はある意味新鮮だった。
「そんな顔で怒り狂うってのはその……あれですよね。お酒呑ませて……事件ですよね。」
三津は男として以前に人として最低だからなと,おうのが居てもそこは責めずにいられなかった。
「それやったかな?呑ませんでも蔵に引きずり込んだりとかもしよったからな。」
「ホンマに猿以下ですね。」
文が根に持つのは当然だ。どうも一度や二度の話でもないらしい。おうのも呆れや嫉妬やもう何とも言いようのない顔で溜息をついていた。
「そう言う三津さんの旦那だって俺の事言えんからな。
それに先生が玄瑞より先に“妹と結婚せんか”って声掛けたん木戸さんやからな。
それを“考えときます〜”とか言って江戸に留学して逃げたんやぞ。」
「そうやったな。あいつ逃げたってぼやいとるの聞いた。」
入江はその時の恩師の顔も昨日の事のように思い出せると笑った。
「文さんにお似合いなのは兄上なんでそれで良かったんです。」
「高杉さん,私すみさんが激怒した理由はよぉぉぉく分かります。サヤさんもね?女の敵は生かしておかない部類の方なんですよ。」
「待て!あの醜女を女として見てやってるのに何で怒る!?女として見られてる事を喜ぶべきやろ!?
ぬぁぁぁ!!待てっ!!振り上げ禁止!!三津さんの握力じゃ稔麿絶対手から離れるっ!!」
大刀より扱いやすいとは言え,使い慣れてない三津がそんな刃物を振り上げると振り下ろす前に手からすっ飛ぶ可能性は大いにある。
高杉は顔を真っ青にして自分を仕留めに来ようとする三津を必死に制した。
傍観していた入江は,それもそうだなと背後から振り上げた手首を掴んだ。そして耳元で甘ーく囁いた。
「三津の可愛い手が落ちてもいけん。怪我する前に貸して?」 https://carinacyril.livedoor.blog/archives/2774957.html https://carinacyril.blogg.se/2024/may/entry.html https://paul.asukablog.net/Entry/5/
「そっ!そんな耳元で言わんでも聞こえますっ!」
三津は顔を真っ赤にして入江から飛び退いた。相変わらずいい反応するなぁと笑いながら,入江は吉田の剣先を高杉へと向けた。
「罰なら私が与えよう。」
「満面の笑顔で言う事か。」
高杉は口をへの字に曲げたが,長年の付き合いでこれはじゃれ合いだと確信を持てるから多少なりとも安堵した。三津の場合は何を仕出かすか分からない怖さがある。
「前にも木戸さんにこてんぱんにやられたやろが。」
山縣は前回の粗末なブツ御開帳事件を思い出して懲りねぇなぁと鼻で笑った。文や三津に対する無礼は命取りだと言うのに。
「それが俺やろが。」
立てた親指でビシッと己を指す高杉に全員が“まぁねぇ”と笑った。
「それに罰なんか与えんでも勝手に死による。」
「……お前がその冗談言うのは狡いっちゃ。」
入江は他人事みたいに欠伸をする高杉の頭を軽く叩いた。
「別に気にする事でもないやろ。誰だっていつかは死ぬ。それが早いか遅いかだけの事。俺はたまたま時期が見えとるだけ。
もしかしたら今日の帰りに有朋が馬に蹴られて死ぬかもしれん。」
「おい,俺を殺すな。」
高杉は真顔で詰め寄る山縣をけたけた笑った。
「先生も言っちょったやん。今日と言う同じ日は二度と来ん。やけぇ俺は自分に嘘つく生き方したくなかったんじゃ。己に従って生きる。」
「だとしても文ちゃんに手ぇ出すのは命知らずもええとこやったけどな。あの時の先生の顔……。今でも忘れん……。般若……般若みたいな顔……。」
入江は手の甲を口に当てて込み上げて来る笑いを押し留めようとした。政で感情的に論じる師の姿は何度も見て来た。だが妹に関して感情を顕にして怒り狂う姿はある意味新鮮だった。
「そんな顔で怒り狂うってのはその……あれですよね。お酒呑ませて……事件ですよね。」
三津は男として以前に人として最低だからなと,おうのが居てもそこは責めずにいられなかった。
「それやったかな?呑ませんでも蔵に引きずり込んだりとかもしよったからな。」
「ホンマに猿以下ですね。」
文が根に持つのは当然だ。どうも一度や二度の話でもないらしい。おうのも呆れや嫉妬やもう何とも言いようのない顔で溜息をついていた。
「そう言う三津さんの旦那だって俺の事言えんからな。
それに先生が玄瑞より先に“妹と結婚せんか”って声掛けたん木戸さんやからな。
それを“考えときます〜”とか言って江戸に留学して逃げたんやぞ。」
「そうやったな。あいつ逃げたってぼやいとるの聞いた。」
入江はその時の恩師の顔も昨日の事のように思い出せると笑った。
「文さんにお似合いなのは兄上なんでそれで良かったんです。」
2024年05月09日入江に優しく宥められて,おうのはか
入江に優しく宥められて,おうのはか細い声で“はい”とだけ答えた。
重い足取りで高杉の元へ帰るおうのを見送って,三津はふらりと海岸へ向かった。その後を入江と山縣がついて歩いた。
「何で有朋も付いてくるそ?ここは私に任せて二人きりにするのが普通やろ。相変わらず空気読めん奴やな。」
「俺も嫁ちゃん心配なんやけぇええやろが。」
「あの……そっと一人にしておくって選択肢もありますけど。」
三津は泣いてぐちゃぐちゃの顔だから出来れば放っておいてはくれないかと思いながら後ろを振り返った。
すると二人はきりっとした顔で,https://community.joomla.org/events/my-events/yi-qini-nuriga-yongitekitaga-gan-xinnaanoo-tsu.html https://carinacyril786.livedoor.blog/archives/2774933.html https://carina.zohosites.com/
「それはいけん。」
と声を揃えた。
「別に身投げしたりしませんよ?」
息ぴったりだった二人に,仲が良いのか悪いのか……面白い二人だとうっすら笑みを浮かべた。
「そうかもしれんけどいつも嫁ちゃんに支えてもらっちょるのにこういう時に何も出来んのは癪に障る。」
山縣がいつに無く真剣な顔で,俺が全て受け止めるなんて言うから三津は思わず吹き出した。
「は?それは私の役目やけぇ有朋は必要ない。と言うかお前を必要やと思った事はない。稔麿から見たお前はただの棒きれやけんな。」
「あ?昔の話引っ張りだすなや。俺の何処が棒きれじゃ。」
三津の事などそっちのけで二人は胸ぐらを掴み合った。『私には無理や……。』
もし出石の一件の“あの二人”に対峙した時,雅のような凛々しさで『夫を匿ってくださりありがとうございました。』なんて言えやしない。
『私はまだまだ子供なんかな……。』
三津は複雑な心境でおうのの方にちらりと目をやった。おうのは目に涙を溜めて無言でこちらも深く頭を下げた。
「私には……もったいないお言葉です……。」
おうのからすればお礼を言われる事などしていない。愛する人の側にいる者として当たり前の事をしてただけだ。
それが高杉の親にはそれが余計な事と責められ,高杉の側から排除された。
「私は……。」
どんなに頑張っても妾だ。
高杉からの愛情は充分に受け取っている。雅よりも側に居る。それでも本妻にはなれない。雅には勝てないのだ。
「私は一言お礼を伝えに来ただけなのでこれで。」
雅はお邪魔しましたとみんなに頭を下げて,梅の進と手を繋いで部屋を出た。おうのはその場で頭を下げてその背中を見送り,他の面々で玄関まで見送りに行った。
「雅さんはいつまでこちらに?」
「多分明日にはこちらを発つのでは……。お義父様は勘当を言い渡しましたので最期を見届けるおつもりはないかと……。」
入江の問いかけに雅は伏し目がちに答えた。そして軽く会釈をして屯所を出た。
『雅さんホンマは高杉さんの傍におりたいんちゃうん?』
その場に立ち尽くしていた三津だが,体は思わず玄関を飛び出して雅を追いかけていた。
「雅さんっ!」
その声に雅は立ち止まり,驚いた顔で振り返った。
「どうしましたか?」
「どうって……ホンマは高杉さんの傍に居りたいんちゃうんですか?心配なんちゃうんですか?」
雅は一瞬顔を歪めたが,すぐに表情を引き締めて微笑した。
「そうですね。ですがこればっかりは……。」
「そんな……。高杉さんのお父上は自分の息子が心配やないんですか!?」
「お義父様の実の心情は私には分かりません。ですが高杉家の名に傷を付けた事へのお怒りなのは間違いありませんし,跡継ぎにこの子がおりますので……。」
武士の家系だから。またそれかと三津の怒りは頂点に達したが,寂しそうに我が子を見下ろす雅の横顔にその怒りはみるみる鎮まっていった。
『私がこんなに怒ってどうする……。当事者の雅さんの方が何倍も苦しいのに……。』
それでも自分の立場を理解し本音を殺して全てを飲み込んで,高杉晋作の妻として努める姿に三津は何より虚しさが込み上げた。
重い足取りで高杉の元へ帰るおうのを見送って,三津はふらりと海岸へ向かった。その後を入江と山縣がついて歩いた。
「何で有朋も付いてくるそ?ここは私に任せて二人きりにするのが普通やろ。相変わらず空気読めん奴やな。」
「俺も嫁ちゃん心配なんやけぇええやろが。」
「あの……そっと一人にしておくって選択肢もありますけど。」
三津は泣いてぐちゃぐちゃの顔だから出来れば放っておいてはくれないかと思いながら後ろを振り返った。
すると二人はきりっとした顔で,https://community.joomla.org/events/my-events/yi-qini-nuriga-yongitekitaga-gan-xinnaanoo-tsu.html https://carinacyril786.livedoor.blog/archives/2774933.html https://carina.zohosites.com/
「それはいけん。」
と声を揃えた。
「別に身投げしたりしませんよ?」
息ぴったりだった二人に,仲が良いのか悪いのか……面白い二人だとうっすら笑みを浮かべた。
「そうかもしれんけどいつも嫁ちゃんに支えてもらっちょるのにこういう時に何も出来んのは癪に障る。」
山縣がいつに無く真剣な顔で,俺が全て受け止めるなんて言うから三津は思わず吹き出した。
「は?それは私の役目やけぇ有朋は必要ない。と言うかお前を必要やと思った事はない。稔麿から見たお前はただの棒きれやけんな。」
「あ?昔の話引っ張りだすなや。俺の何処が棒きれじゃ。」
三津の事などそっちのけで二人は胸ぐらを掴み合った。『私には無理や……。』
もし出石の一件の“あの二人”に対峙した時,雅のような凛々しさで『夫を匿ってくださりありがとうございました。』なんて言えやしない。
『私はまだまだ子供なんかな……。』
三津は複雑な心境でおうのの方にちらりと目をやった。おうのは目に涙を溜めて無言でこちらも深く頭を下げた。
「私には……もったいないお言葉です……。」
おうのからすればお礼を言われる事などしていない。愛する人の側にいる者として当たり前の事をしてただけだ。
それが高杉の親にはそれが余計な事と責められ,高杉の側から排除された。
「私は……。」
どんなに頑張っても妾だ。
高杉からの愛情は充分に受け取っている。雅よりも側に居る。それでも本妻にはなれない。雅には勝てないのだ。
「私は一言お礼を伝えに来ただけなのでこれで。」
雅はお邪魔しましたとみんなに頭を下げて,梅の進と手を繋いで部屋を出た。おうのはその場で頭を下げてその背中を見送り,他の面々で玄関まで見送りに行った。
「雅さんはいつまでこちらに?」
「多分明日にはこちらを発つのでは……。お義父様は勘当を言い渡しましたので最期を見届けるおつもりはないかと……。」
入江の問いかけに雅は伏し目がちに答えた。そして軽く会釈をして屯所を出た。
『雅さんホンマは高杉さんの傍におりたいんちゃうん?』
その場に立ち尽くしていた三津だが,体は思わず玄関を飛び出して雅を追いかけていた。
「雅さんっ!」
その声に雅は立ち止まり,驚いた顔で振り返った。
「どうしましたか?」
「どうって……ホンマは高杉さんの傍に居りたいんちゃうんですか?心配なんちゃうんですか?」
雅は一瞬顔を歪めたが,すぐに表情を引き締めて微笑した。
「そうですね。ですがこればっかりは……。」
「そんな……。高杉さんのお父上は自分の息子が心配やないんですか!?」
「お義父様の実の心情は私には分かりません。ですが高杉家の名に傷を付けた事へのお怒りなのは間違いありませんし,跡継ぎにこの子がおりますので……。」
武士の家系だから。またそれかと三津の怒りは頂点に達したが,寂しそうに我が子を見下ろす雅の横顔にその怒りはみるみる鎮まっていった。
『私がこんなに怒ってどうする……。当事者の雅さんの方が何倍も苦しいのに……。』
それでも自分の立場を理解し本音を殺して全てを飲み込んで,高杉晋作の妻として努める姿に三津は何より虚しさが込み上げた。