京つう

日記/くらし/一般  |洛中

新規登録ログインヘルプ



スポンサーリンク

上記の広告は、60日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  

Posted by 京つう運営事務局  at 

2024年10月13日

描かれた蘭丸の姿を指でなぞりなが

描かれた蘭丸の姿を指でなぞりながら、胡蝶は目のに大粒の涙を溜めた。

絵の中の蘭丸は、胡蝶が一人で縫い上げた衣装に身を包み、優しい微笑みをえている。

つい数日前までこの世の人であった許嫁が、今はもういない…。

帰蝶が今一度 蘭丸の名を呟きながら、瞳に溜まった涙を頬に流していると

『──失礼致しますぞ』

報春院が前触れもなく部屋の中に入って来た。

胡蝶は着物の袖口で涙をい、素早く出迎えの姿勢をとった。

『胡蝶、少し良いか?』

『…はい』

報春院は胡蝶の前に腰を下ろすと、薄暗い室内を見渡し、小さな溜息を吐いた。

『いくら表立って動けぬからというても、かように辛気臭いところに引きこもっておっては身体に毒じゃ』

たまには庭へでも出られたらどうじゃ?と報春院は優しく告げる。https://jennifer92.livedoor.blog/archives/36884208.html https://note.com/ayumu6567/n/nad6702f4266d?sub_rt=share_pb https://annapersonal.joomla.com/3-uncategorised/8-2024-10-11-83-32-24

『…有り難う存じます。されど、にも身体が不自由そうな姿を見せては、に怪しまれます故』

『案ずるには及ばぬ。ご不調であることは既に皆にも伝えてありまするし、そうそう、のこともな、

いつまでも罹病のせいにばかりも出来ぬ故、安土から立ち退く際に足を痛めたのだと皆には申しておきました』

口元のことも別の理由を考えねばなと、報春院が軽やかに笑うと

『──またこれを眺めておられたのか?』

ふいに、膝元に置いてある絵巻物に視線を落とした。

胡蝶は憂いの表情のまま、黙って巻物を片付けてゆく。

『胡蝶、確かにそなたの心情は察するに余りある。お濃殿との入れ替わりで戸惑っているところへ、信長とお濃殿、蘭丸殿を一度に失ったのじゃからな』

『……』


『されど、いつまでもに暮れている訳にもいかぬであろう。何せ、今のそなたはお濃殿じゃ。亡き信長殿の正室として、

誰よりも毅然としていなければならぬ。信長殿や蘭丸殿とて、そなたがいつまでも左様な有り様では、安心してへ旅立てぬではないか』

言われずとも、そのことは胡蝶自身も重々理解していた。

無茶でも困難でも、託された以上は濃姫を演じ抜き、動揺する女たちをめねばならないのだ。

しかし頭ではどんなに理解していても、どうしても心が付いていかない。

これまでいことや辛抱することが多かった分、腹は誰よりも据わっている気でいたが、

胡蝶はここに来て、自分の弱さと度胸のなさを、まざまざと思い知らされていた。

れる胡蝶を見て、報春院はふっと一息吐くと

『そなたに、これを』

着物のを取り出して、胡蝶に差し出した。

『……これは?』

『お濃殿から預かっていた、そなた宛の文じゃ』

『 ?!  母上様から…』

胡蝶は目を見張り、慌てて文を報春院から受け取った。

それは、濃姫が京へ出立する前に、《 ここに委細が書き記してある 》と言って、報春院に託していた、あの文であった。

『いつそなたに渡すか悩んでいたのじゃが、今 渡すことに致しまする』

『…お様』

『それを読んで、少しはお心を落ち着けられよ』

報春院は静かに言い置くと、すくっと立ち上がり、そのまま部屋から出て行った。
胡蝶はそれを見送ると、一度 文を畳の上に置いてから、表包みを外し、中から折りの巻紙を取り出した。

両手で広げることが出来ない為、右手でゆっくりと折りたたまれた巻紙を広げてゆく。

そこには『 胡蝶へ 』から始まる、今となっては懐かしいものになってしまった濃姫の字が、美しい書体で並んでいた。

胡蝶は胸の奥に込み上げてくるものを感じながら、静かに文面に目を泳がせていった。



《 ──胡蝶。

この文を
  

Posted by Curryson  at 23:06Comments(0)

QRコード
QRCODE
インフォメーション
【京つうからのお知らせ】
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人
プロフィール
Curryson