京つう

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2023年07月27日

が懐かしい。

が懐かしい。みなが食客としてきてくれたからこそ、貧乏でも励みになった。毎日が充実し、あかるかった」

 局長が、ぽつりぽつりと語る。その声もまた、涙声である。

「が、世の流れに取り残されているのではないか。なすべきことをなさず、片田舎のしがない道場主としておわってしまうのではないか。つねに、焦燥と無力感に苛まれていたこともたしか。あのとき、京に上らねば、あのまま無為ではあるが生きてはおれたのであろう」

 その最後の言葉に、やはりという諦念に苛まれる。

「いや、やはりわたしは、これまであゆんできたことに後悔はない。歳や山南君、源さんや新八や左之、斎藤君に総司に平助がつくってくれた道をあゆめたことが、わたしにとってなによりのこと。わたしには、それ以外考えられぬ。たとえ、その道がゆきどまりであろうと、わたしはこのままあゆむつもりだ」

 だれもがうなだれ、その話をきいている。をあげることができない。
をあげ、現実を目の当たりにするのが怖いのだ。「新八、左之。これまでのこと、礼を申す。いますぐ、でていってほしい。否。ここから、でてゆけ」
「なっ、近藤さん、なんでそうなる?」
「そうだぞ、近藤さん。なにゆえ、でてゆかねば・・・」

 永倉につづき、原田がいいかける。http://kiya.blog.jp/archives/21249121.html
https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/07/12/051235 http://ruth74.zohosites.com/ 局長は、それをでかくて分厚い掌を上げて制する。

「おまえたちが戻ってくるまでに、宇八郎君がやってきた。なんでも、おまえたちが隊を結成するとかで、誘われたと。「近藤さん、あんたも隊士として誘おうかと思っている。幹部二人が反旗を翻すようなものだ。新撰組はどうなるのかね」と笑っていたよ。おまえたちの真意は、わかっている。わたしは、おまえたちにつかわれるつもりはない。それに、にいるつもりもないのにとどめるつもりもない」
「はぁ?あの野郎・・・。近藤さん。あんた、かような与太話・・・」

 永倉の唖然としたと言葉。それもまた、さきほどとおなじ掌がさえぎる。

の話を、すぐに鵜呑みにしてしまう」

 局長は、言葉をとめる。

 この想定外の展開に、だれもがついてゆけない。

「宇八郎君は、隊士たちにも声をかけていた。新八、左之。おまえたちについてゆきたい者もいるであろう。その連中も同様に、放逐する。もう、もみたくない。斎藤君、俊冬、俊春、主計。新八と左之を、ここから放りだせ」
「そ、そんな・・・。副長、いいのですか?」

 斎藤の狼狽っぷりは半端ない。ってか、おれなど、動揺しまくり声もでない。

もみたくない。斎藤君、俊冬、俊春、主計。新八と左之を、ここから放りだせ」
「そ、そんな・・・。副長、いいのですか?」

 斎藤の狼狽っぷりは半端ない。ってか、おれなど、動揺しまくり声もでない。のごとき活躍を、心より祈っている」

 永倉と原田はささやいてから、勢いよく立ち上がる。

「ああ、ああ、わかったよ。畜生っ!手切れだ手切れっ!こんなとこ、こっちからでていってやるよ」
「近藤さん、みそこなったぜ。いこうぜ、新八っ」

 叫ぶなり、脚音高くでていってしまう。

 副長のアイコンタクト。追って、最後の別れをしてこいと・・・。

 おれたちも、あわてて二人を追う。

「組長、永倉先生」

 途中、数名の隊士たちが廊下に立っているのにでくわした。藤堂の組の伍長を務めたことがあり、最終的には原田の直下で隊士たちをまとめているはアラフォーと聞いているが、ずいぶんと若くみえる。武蔵国の出身で、新撰組がまだ壬生浪士組とよばれていたに入隊した、古参の一人である。

 藤堂とずいぶん仲がよかったらしい。
 細身で背がひくい。男前というわけではないが、はこぶりで精悍な面構えといった感じである。

 かれは、御陵衛士たちを粛正する「油小路事件」には出動しなかった。 
 伍長として、手動命令がでていたにもかかわらず、直前に「腹が痛い」といってブッチしたのである。それが仮病だということは、だれもがわかっていたが。

 かれは、藤堂への想いを選んだのである。

 念のためであるが、その想いというのはBL系ではないと思う。たぶん、だけど。

 結果、かれは事件後にみずから伍長をおり、井上の組へ移った。それから、原田の直下になったのである。



Posted by Curryson  at 20:28 │Comments(0)

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