2024年09月29日「確かに。一理ございまする」
「確かに。一理ございまする」
「くは上洛することもない故、悪夢が現実になることはない。安堵致せ」
夫の言葉を聞いて、濃姫は安心しきった面持ちで「はい」と頭を垂れた。
──全ては自分の思い過ごし、そうに違いない。
濃姫は自身に言い聞かせるように、何度も何度もその言葉を心の中で繰り返していた。
一方 胡蝶も、自室の前庭へと歩み出て、輝く天主閣をうっとりとした様子でぎ見ていた。
その左右には蘭丸とお菜津が付き従い、二人もまた、目の前の光の芸術に心奪われていた。
「何て綺麗──。これを、父上様が私のに?」
「左様にございます。姫様がこのお部屋からでもご覧になられるよう、ご配慮下されたそうにございます」
お菜津は嬉しそうに頷いた。https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202409270008/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/21153d4b93e103e338d15d02120569fb https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/09/27/191452?_gl=1*x4y6pz*_gcl_au*MTY1Nzk5NjI1Ni4xNzI3NDMyMzI5
「賢き上様のこと、大がかりなしを人々に見せつけることで、自身のご威勢をあまねく広めようとする狙いもあるのでしょう」
「まぁ蘭丸殿、そんな水を差すようなことをせになっては…」
お菜津が小声でめると、蘭丸はあっとなって、胡蝶に頭を下げた。
「申し訳ございませぬ。決して左様なつもりでは…」
蘭丸が謝すると、胡蝶はいながら首を横に振った。
「良いのです。この催しが、私一人の為に成されたことであれば実に恐縮なことじゃが、
他意があるのであれば、それはそれで気楽というものです。 ──それよりも、お菜津」
「何でございましょう?」
「蘭丸様はいずれ私の夫君となられるお方。そのようなお方に、先程のような物言いはなりませぬぞ」
「ま…、これは失礼を致しまして」
お菜津が頭を下げようとすると、慌てて蘭丸がそれを制した。
「お止め下さいませ。 ──姫様も、に左様なお気遣いはご無用に願いまする」
「されど」
「姫様のお心はなく思いまするが、某はまだ、姫様の夫ではございませぬ。過分のご配慮は、結構にございまする」
「…蘭丸様…」
胡蝶は思わず蘭丸の面差しを見上げ、しゅんと肩を落とした。
蘭丸の冷やかな言葉に傷付いたのか、胡蝶の美しい顔がどんどん悲しみに染まってゆく。
二人の間に立ち込め始めた重苦しい空気を察してか
「…あの、私、お茶を入れて参りまする」
お菜津は気まずそうに頭を下げ、足早に部屋の中へと入って行った。
「……」
「……」
二人の間の重い空気は、お菜津が去ってもろ、気まずさが加わったようにも感じる。
沈黙も続き、胡蝶もどうしたら良いのかと悩んでいると
「某は、まだ半人前にございます」
蘭丸が、天主の灯りを見つめながら、ぽつりと呟いた。
「からは出来た奴、弟からは頼もしき兄上と言われ、皆がうてくれまするが、
上様やご重臣方からは未だにお叱りを受けることも多く、まだまだ一知半解にございます」
「……」
「青二才の某が、主君の姫君の許嫁、未来の夫とはあまりにも恐れ多きこと…。ですからどうか、
過ぎたお気遣いはなさらないで下さいませ。左様なことをされては、姫様に対して申し訳なく──」
と、やおら胡蝶の方へ顔をやった蘭丸は、驚いたように両眼を広げた。
胡蝶がぽろぽろと、真珠のような涙を流していたのだ。
「い、なされたのです !?」
蘭丸が思わず声を張ると、胡蝶は微かに笑みを浮かべながら、着物の袖口で涙をった。
「申し訳ございませぬ。…何やら、の思いでいっぱいになってしまって」
「安堵?」
しき言の葉を述べられました故、…一瞬、嫌われてしまったのではないかと思うて」
胡蝶の言葉を聞き、蘭丸は思わず
「やはり某は半人前じゃ…」
と、
「蘭丸様がおを自身の顔面に当てた。
「くは上洛することもない故、悪夢が現実になることはない。安堵致せ」
夫の言葉を聞いて、濃姫は安心しきった面持ちで「はい」と頭を垂れた。
──全ては自分の思い過ごし、そうに違いない。
濃姫は自身に言い聞かせるように、何度も何度もその言葉を心の中で繰り返していた。
一方 胡蝶も、自室の前庭へと歩み出て、輝く天主閣をうっとりとした様子でぎ見ていた。
その左右には蘭丸とお菜津が付き従い、二人もまた、目の前の光の芸術に心奪われていた。
「何て綺麗──。これを、父上様が私のに?」
「左様にございます。姫様がこのお部屋からでもご覧になられるよう、ご配慮下されたそうにございます」
お菜津は嬉しそうに頷いた。https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202409270008/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/21153d4b93e103e338d15d02120569fb https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/09/27/191452?_gl=1*x4y6pz*_gcl_au*MTY1Nzk5NjI1Ni4xNzI3NDMyMzI5
「賢き上様のこと、大がかりなしを人々に見せつけることで、自身のご威勢をあまねく広めようとする狙いもあるのでしょう」
「まぁ蘭丸殿、そんな水を差すようなことをせになっては…」
お菜津が小声でめると、蘭丸はあっとなって、胡蝶に頭を下げた。
「申し訳ございませぬ。決して左様なつもりでは…」
蘭丸が謝すると、胡蝶はいながら首を横に振った。
「良いのです。この催しが、私一人の為に成されたことであれば実に恐縮なことじゃが、
他意があるのであれば、それはそれで気楽というものです。 ──それよりも、お菜津」
「何でございましょう?」
「蘭丸様はいずれ私の夫君となられるお方。そのようなお方に、先程のような物言いはなりませぬぞ」
「ま…、これは失礼を致しまして」
お菜津が頭を下げようとすると、慌てて蘭丸がそれを制した。
「お止め下さいませ。 ──姫様も、に左様なお気遣いはご無用に願いまする」
「されど」
「姫様のお心はなく思いまするが、某はまだ、姫様の夫ではございませぬ。過分のご配慮は、結構にございまする」
「…蘭丸様…」
胡蝶は思わず蘭丸の面差しを見上げ、しゅんと肩を落とした。
蘭丸の冷やかな言葉に傷付いたのか、胡蝶の美しい顔がどんどん悲しみに染まってゆく。
二人の間に立ち込め始めた重苦しい空気を察してか
「…あの、私、お茶を入れて参りまする」
お菜津は気まずそうに頭を下げ、足早に部屋の中へと入って行った。
「……」
「……」
二人の間の重い空気は、お菜津が去ってもろ、気まずさが加わったようにも感じる。
沈黙も続き、胡蝶もどうしたら良いのかと悩んでいると
「某は、まだ半人前にございます」
蘭丸が、天主の灯りを見つめながら、ぽつりと呟いた。
「からは出来た奴、弟からは頼もしき兄上と言われ、皆がうてくれまするが、
上様やご重臣方からは未だにお叱りを受けることも多く、まだまだ一知半解にございます」
「……」
「青二才の某が、主君の姫君の許嫁、未来の夫とはあまりにも恐れ多きこと…。ですからどうか、
過ぎたお気遣いはなさらないで下さいませ。左様なことをされては、姫様に対して申し訳なく──」
と、やおら胡蝶の方へ顔をやった蘭丸は、驚いたように両眼を広げた。
胡蝶がぽろぽろと、真珠のような涙を流していたのだ。
「い、なされたのです !?」
蘭丸が思わず声を張ると、胡蝶は微かに笑みを浮かべながら、着物の袖口で涙をった。
「申し訳ございませぬ。…何やら、の思いでいっぱいになってしまって」
「安堵?」
しき言の葉を述べられました故、…一瞬、嫌われてしまったのではないかと思うて」
胡蝶の言葉を聞き、蘭丸は思わず
「やはり某は半人前じゃ…」
と、
「蘭丸様がおを自身の顔面に当てた。
Posted by Curryson
at 21:59
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